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コンサートマーチ「青葉の街で」

全体解説

 こちらは課題曲でよく見られる4拍子のマーチですね。4拍単位でビートが回るので,普通の2拍子マーチよりも流れにゆったり感が出ますよね。スコアに書いてあるとおり,タイトルの『青葉』は作曲者の小林さんの住まれている街の名(横浜市青葉区)だそうですが,でも,『青葉』という言葉から曲のイメージをふくらませてみるのもいいかもしれませんね。

 まず,マーチの要は打楽器です。このあたり,『行進曲「勇気のトビラ」』の解説も読んでみてください。そしてこの曲も,打楽器にアーティキュレーションがあまり書かれていないんですよね。冒頭シロフォンの16分音符,木管楽器にはスラーが付いています。同じ動きの管楽器をチェックするのはもちろん,そのアーティキュレーションをすべて書き写しておきましょう。

 そして,あたまうち,あとうちの伴奏系が加わってマーチのビートをつくることはもちろん,管のあとうちはハーモニーになっていることにも意識を向けて。ホルンとトロンボーン,あとうちは長い音にしてハーモニーとその流れを合わせてみましょう。ホームページの 楽譜倉庫 に『あとうちハーモニー練習楽譜』があります。低音楽器を誘って,ぜひやってみてください。

 そして木管楽器,連符が多いですね。大変だと思いますが,がんばって練習しましょう。トロンボーン吹きが言うのもなんですが,指を思うのではなく,音を思う。ゆっくり練習する時も,指に意識を向けるというよりも,1つ1つの音に意識を向ける。指は,その1つ1つの音についてくる。そして,もちろんこれは連符に限りませんが,音の方向性。この動きはどこに向かっていくのか,到達点を意識する。でも,そこに駆け込むわけではないのでテンポはキープで。

 [B]2小節目(14)から,アルトクラと2ndアルトサックスはスラーですが,ホルンはマルカート。これはちゃんと対比を出せるといいと思います。[D]2小節目(34)からも同様です。

 [C]1小節前(20)3拍目,管はみんな8分音符ですが,シロフォン以外の打楽器は4分音符になっていますね。3拍目裏には打楽器が残って,低音メロディにつながる。[C]4小節目(24)3拍目は打楽器もみんな8分音符ですね。そのつぎのクラリネットとアルトサックスのアウフタクトにかぶらないように。

 [C](21)アウフタクトからの低音メロディ,1小節目の低いA音,3小節目の低いD音,この16分音符は打楽器や木管,トランペットのきざみ音型にマスクされて,とても聞こえづらいと思います。もちろんはっきりめに吹きますが,しっかり出してやろうと思いすぎると力んでしまうと思いますし,不自然になってしまうかもしれません。聞こえづらいのは仕方がないと思います。それよりも,メロディとして自然にフレーズ感が出るように。

 [C]9小節目(29)から,3rdホルンの全音符は,その4小節前からのファゴット,ユーフォ,テナーサックスのカウンターライン,オブリガートの仲間です。

 Trioに入って[E](43)からのトロンボーン,ルンバ型あとうちですが,もちろん1拍目裏シンコペーションの4分音符には少しアクセント。そのアクセントのエネルギーは,1拍目の頭で貯められたものです。そして,[I](75)からのトロンボーン,[C]5小節目(25)からのホルン,[H](67)からのホルンの形は,このルンバ型あとうちの変形。ですので8分休符直後の16分音符に少しだけアクセントを置いて,そのあとを抜くと軽やかさが出ると思います。

 [E](43),メロデイはmp,伴奏はp。[F](51),メロディはmf,伴奏はmp。伴奏が一段ずつ小さく書かれています。が,[F]4小節目(54)で伴奏だけがクレシェンドして,メロディのmfに追いつきます。このクレシェンドの箇所はマイナーサブドミナント(E♭m),しかもベースがG♭音(第3音)。ここで伴奏も出てきてドミナント(終止の四六)へ向かう。そういう響きも合わせて感じてみましょう。

 [G](59)からの8小節間で,その前のBdurからGdurに転調します。この響きの移り変わりをよく感じて。ゆっくり合わせて響きの譜読みを。そして,[I]1小節前(74)でGdurから元のBdurに一気に戻ります。ここは劇的に決めたいところ。そして[I](75)からは,[H](67)の木管主体から金管主体へ。このコントラストもしっかり出したいですね。

 さて,[H](67)からのファゴットのオブリガート,もしファゴットがなかったら,どの楽器で代用するのがいいのでしょうか…。上が少し高いけれど,バリトンサックス。2小節目最後のG音だけ出ない(オクターブ上げます)けれど,テナーサックス。あるいはアルトクラ。もちろんユーフォでもいいわけです。あっ,べつにトロンボーンだっていいんですよ。ただし,『solo』と書いてあるので,どの楽器でやるにしても1本で吹く必要があります。もちろんファゴットがあればファゴットでやらなければなりません。

トロンボーンパート解説

 それではトロンボーンパートを見ていきましょう。[A]2小節目から,1st,2ndトロンボーンのハーモニーはメロディに寄り添う意識。旋律の音も合わさってハーモニーが完成すると思って吹きましょう。その響きをよく感じて。ここは,もし1stと2ndを複数人で吹いているセクションなら,1本ずつにしてみるのもいいかもしれませんね。いろいろ試してみましょう。

 この曲では特にたくさん出てくるあとうちと,その変形のルンバ型あとうちについてはすでに書きましたが,ハーモニーを忘れないこと。大切なことなのでもういちど書きました。それから技術的には,あとうちって思ったほど息を消費しないんですね。ですので,息を吸い過ぎると逆に苦しくなるかもしれません。肺を空気でいっぱいにしてしまわず,らくなところで吹く。もちろんブレスは8分休符のたびにではなく,たとえば4小節などの単位でします。1個1個の8分音符に息を入れていくのではなく,息はずっと準備されているように。

 [C](21)の部分についてはすでに書きましたが,3小節目(23)2拍目のD音は4ポジション(ほんの少し遠め)の使用も検討しましょう。1小節目(21)と3小節目(23),3拍目あたまのタイでつながった8分音符のところで,『ウッ』と止める感じになっていませんか?胸やのどの感じを観察してみましょう。それ,止めなくても大丈夫。練習として,全部テヌートで吹いてみましょう

 [I]4小節目(78),1stと2ndの4拍目D音は4ポジション(ほんの少し遠め)の使用も検討しましょう。

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