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シャコンヌ S

トロンボーンパート解説

 この曲のトロンボーンはマーチなどと違って休みが多く、吹くところは少ないですが、どの箇所も重要です。とにかく硬くならない豊かな響きが欲しいですね。そのためには、呼吸、身体の使い方がちゃんと出来ていることがまず重要だと思います。特に1stは音も高く難しい部分もあると思いますが、音の線が細くならないよう、よく響く豊かな音を作ってください。それでは細かく見ていきましょう。

 [3]からの3rdトロンボーン、全体を支えるバス、低音の役目なんですが、この箇所でバスを担っているのは、もしコントラバスがなければ3rdトロンボーンだけです。さらに、コントラバスがあったとしてもピッチカートなんですね。もちろんコントラバスがいればコントラバスとの共同作業になりますが、まずバンドの和声を支えるバスの役目だということを意識してください。

 この曲に限りませんが、3rdトロンボーンのパートでは、自分が吹いている音が内声なのかバスなのかということを常に意識して吹くことが大切だと思います。この曲では特に、内声の部分とバスの部分があり、また、バスの部分でも、共同作業をしているパートはテューバであったりコントラバスであったりします。もちろんそれをあらかじめ把握しておくことは大切です。内声の場合は、ハーモニーの一部ですのでセクション全体の響きを聴いてハーモニーを構成する意識が大切ですし、バスの場合は土台ですので全体を支える意識。今、自分(たち)のバスの上にどれだけの音が乗っているのか、それを支える響きと安定感が大事です。力が入って響きが硬くなってはいけません。

 もちろん音程も非常に大事です。バス声部の音程が悪いと、全体のハーモニーがくずれてしまいます。響きを聴いて。[3]の箇所だと5小節目のHはF管2ポジションを使うのなら、普通の2ポジションだと高めになると思います。このHが高くなる人がとても多いです。少しだけ遠めの2ポジションで。もちろんまずF管のチューニングをちゃんとすること。

 [4]からはホルンとともにハーモニーですが、ここでも3rdトロンボーンはバス音。テューバやコントラバス(2ndホルンも)とのユニゾンに気をつけ、全体のハーモニーも聴きます。1stは後半音が高くなります。線が細くならず、豊かな響きで。上のGはもちろん普通の2ポジションでは低いですから、だいぶ近めの2ポジションで。

 そして、この箇所に限りませんが、ハーモニーの中で全音や半音の2度でぶつかる音がたくさん出てきます。ホルンと一緒に合わせてみるとよくわかりますね。トランペットや4thホルンはずっとAですから、たとえば[4]の2小節目1stのBと半音(長7度)になります。ここはホルンとともにA7のコードをまず合わせて、そこに1stのBを入れるといいと思います。A音以外にも、2度でぶつかる音がいくつも出てきますから、そういうハーモニーが美しく響くように。各声部の横の流れ感が大切になってくると思います。それぞれ自分のパートを歌って、声でもきれいにハーモニーができるようにする練習は有益ですよ。

 [5]から、まずは長い音(付点2分音符)で合わせてハーモニーを確認してみましょう。楽譜通りに吹いた短いその1つ1つの音がちゃんとハーモニーになっていること。ホルンやトランペット(2nd、3rd)とも一緒に練習しましょう。音型も合わせて。

 [8]からの部分は、ffでなかなか大変だと思いますが、豊かな響きで。身体がちゃんと働く吹き方。それも胸ではなくもっと下の方、腹の部分が働く吹き方で。下でふんばって上は響かせるみたいな感じになるといいと思います。特に1stは音が高くて大変だと思います。上のGの音が大好きだという人は多分いないと思いますが、身体がちゃんと働いて、それから、吹き始める前からちゃんとその音(G)が頭の中にあること。それができれば大丈夫。もちろんこれは1stだけではなくどのパートにも言えることです。

 それから、テンポやリズムがあやふやにならないように。ffで身体はしんどいけれども、心は冷静に、そしてていねいに。テンポを正確にといっても、身体や楽器を動かしてテンポを取ってはダメです。2分音符から3拍目の8分音符へのタイを取った形(3拍目をタンギングする)でも合わせてみましょう。リズムが正確になりますね。そしてその3拍目の8分音符の長さや形が同じになるように。それがそろったら、そこにタイをかける。その3拍目の8分音符はある程度短めになるのが自然だと思いますが、3拍目が8分休符になってしまってはいけません。トランペットなどとも一緒に合わせてみましょう。トランペットとトロンボーンは1st、2nd、3rdがそれぞれオクターブですから、音程もそれぞれ合わせてみるといいと思います。

 [10]の4小節前から、ちゃんとハーモニーするように。ユーフォニアムとも一緒に合せましょう。ここは調性は変わっていきますが和音としては普通の和音ですから、よく合わせて。[10]の3小節前、1stのEsと2ndのBの4度、広くなりがちかもしれません。よく聞いて合わせて。3rdのGesはEs-mollの第3音。2小節前、1stのEはC7の第3音。高くならないよう気をつけて。1小節前、1stのFと2ndのCの4度も広くならないようよく合わせて。1つ1つのハーモニーもですが、声部の横の流れ感も大切です。[10]の5小節目、決めの8分音符、硬くならないようよく響かせて。

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