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迷走するサラバンド

トロンボーンパート解説

 この曲は場面の変化に富んでいますので、発音や音色を使い分けてその場面に合った表現をすることが大切だと思います。強弱の変化にも充分に気をくばり、また、自分たちが吹いているパッセージは全体の中でどういう役割なのか、どこのパートと同じ動きなのか、またはトロンボーンだけなのかなどをちゃんと把握して演奏することが、特に重要だと思います。さらに、テヌートやアクセントなど、記号がついている音符が多いです。それらの記号がなぜ書かれているのか、どう表現したらいいのか、よく検討する必要があると思います。

 [A]の4小節前から、最初はmpですので、硬い音にならないように。ホルン、テューバと同じグループですので、その中で吹き方をよく合わせることがとても大切ですね。同じグループの中で吹き方や強弱をよく合わせることがこの曲では特に大切だと思います。迫ってくるようなクレッシェンド、3連符アクセントは短くならないように。3連符はきちんと3等分で。[A]2小節前の32分音符アクセントは鋭く。もちろんDのオクターブや、ホルンに同じ音がある2ndなど、音程、響きも大切に。

 [A]からの8分音符、ホルン、ユーフォ、低音など同じグループとよく合わせて。ポイントは7小節目4,5拍目。裏が遅れたりしないよう、正確に。ホルンが刻んでいる3連リズムとの対比がしっかりつくことが大事です。

 [B]の2小節目からですが、ここも硬い音にならないように。3rd、3小節目から4小節目へのFis→F、このFだけ6ポジションにすることも考えてみましょう。それともインラインダブルの楽器なら、始まりのFisをG管(2ポジション)またはGes管(1ポジション)を使うことを考えてもいいかもしれませんね。4小節目5拍目から入ってくる1st、3rdとのオクターブよく合わせて。

 [D]の3小節前、クレシェンドの感じはトランペットとよく合わせて。ここはアクセントがないですから、硬すぎないように。

 [D]からテンポが戻って木管群の動きに呼応するような16分音譜の決めですが、クリアに。アクセントを意識しすぎてタンギングに力が入ったりぶつけたり短すぎたりすると、かえってクリアに聞こえませんから、タンギングは軽く、ちゃんと音程、響きが聞こえるように。響きでクリアに。2小節目、4小節目のユニゾン(オクターブ)の音型はトロンボーンとホルンのみ。もちろんユニゾンをよく合わせて。2小節目、5ポジションのFisは特に要注意ポイントです。そして、テヌートですが、ややはっきり。堂々とした感じで。

 [E]から、ユニゾンの部分は音程をよく合わせて。そして、他パートと発音や音の処理、クレシェンドやディミヌエンドなどをよくそろえて。堂々と、響きのある深い音で。

 [F]から、シンコペーションの伴奏型ですね。よくハーモニーさせてください。1stと3rdのEsのオクターブは特に音程気をつけて。1stは高くなりがちの音ですから、気をつけてください。2ndのGは長三和音の第3音で取りたいところですが、ここは木管楽器のメロディもGなので、それとの兼ね合いにも注意が必要です。Asはちゃんと1stからの5度で取ってくださいね。やわらかく響きのあるハーモニーで、リズムもちゃんと感じながら旋律と息づかいを合わせて。

 [H]2小節前はトランペットとよく合わせて。アクセントですが、硬い音にならないように。そして[H]からまたシンコペーションの伴奏型が出てきます。今度はフォルテ。たっぷりとした音で。ただし、木管群のメロディの邪魔をしないように。バント全体とテンポ感がひとつになっていることが大切です。[J]の3小節前まで、トロンボーンの響きで雄大さを演出できるといいですね。

 [J]の5小節目からの音型はユーフォと一緒です。1stはユーフォとのユニゾン、よく合わせて。そして、クレシェンドはクラリネットの動きもよく聞いて合わせてみましょう。

 [K]から、テンポをちやんとつかんで、1stはもちろんユーフォとのユニゾンをよく合わせます。2nd、3rdも響きを合わせますが、3小節目3拍目で、3rdはその前に2ndが吹いていたDesをちゃんと受けついで、おんなじDesで、2ndはその前に1stが吹いていたFを受けついで、おんなじFで。4小節目の2拍目にも同様のことがありますね。それがうまくできないとハーモニーの響きがその前後で違ってしまいます。気をつけて。

 [L]から、こういうリズムの3連符と16分音符をきちんと吹き分ける、3連符はもたれず正確に3等分するのが、この曲のポイントですから、きちんと正確に。そして、アクセントですがアタックの音だけにならないように。ひとつひとつがちゃんとハーモニーになっていなければなりません。他の同じ動きのパート(トランペット2nd、3rd、ユーフォ、低音楽器)とも合わせて、発音のニュアンスなどをそろえることも必要です。

 [M]から、[E]と同様ですが、クレシェンド、ディミヌエンドでバランスや響きが乱れることのないよう、注意しましょう。呼吸を合わせて、気持ちを合わせて。

 最初に書いたように、アーティキュレーション記号が付いている音がこの曲にはたくさんあります。特にアクセントでは、アタック音だけのぶつけた音にならないように、ちゃんと響きを伴った音、響きでクリアに吹くアクセントになるように気をつけてください。

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