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マーチ「晴天の風」

トロンボーンパート解説

 この曲も、明るく軽やかなマーチです。作曲の糸谷良さんは高校生。トランペット吹きなのだそうですが、いろいろな楽器の特長をうまく生かしていますね。

 イントロですが、1st、2小節目3拍目裏のDes、4拍目のB、5ポジションも考えてみてください。2nd、2小節目3拍目裏のB、5ポジションも検討してください。それから3rd、2小節目最後のBは、F管の3ポジション(遠めでほとんど4ポジションに近い)でもいけます。ただし、どの替ポジションも音程には気をつけてくださいね。

 さて、1~2小節は休符を休みすぎないよう注意が必要です。コツは、休みの間もテンポの流れの中にいること。3拍目の8分休符でタイミングをとるような吹き方だと、かえって出が重くなる原因になります。それから、3小節目の4分音符は、ちょっとアクセント系で。特に3rdはシンコペーションなので当然アクセントがあると思っていいと思います。

 [B]2小節前(11)ですが、1stのDは4ポジションがお薦めです。スライドの移動が少なくてすむこと以上に、音階の導音→主音という動き(ハ長調でいうならシ→ドという動き)は倍音を変えないで、となりのポジションに上行するほうがきれいです。つまり、導音には1ポジションを使わないほうがいいと思います。他の箇所も、もちろん1stに限らず、上のDは4ポジションを検討してください。

 さて、クレシェンドディミヌエンドがありますが、パートでそろえて、そして押し付けがましくなく、わざとらしくならないように自然にいきたいですね。「書いてあるからしました。」ではなく、自然に歌うように。もちろん、2分音符や4分音符1個1個があとぶくれになってはダメです。

 [C]3小節前(18)、重くならないように。そのためには、8分音符も16分音符も全部同じ大きさではなく、16分音符は少しだけ軽くする感じにするといいと思います。

 [C](21)からのハーモニー、1stのDはもちろん4ポジションがお薦め。3rdのDも4ポジションを検討してください。ところで[C]1小節目の3拍目なんですが、2ndが3rdよりも低くなっています。裏技として音を入れ替えることも試してみるといいと思います。2ndがD(4ポジションで)、3rdがH。そのほうがうまくいけば変えていいと思います。あんまりおおっぴらにこんなこと書いちゃいけないか…^^;

 [C]4小節目(24)3拍目裏からの低音軍団メロディは勇壮に。アウフタクトにだけ縦型アクセントがありますが、それまでの、流れるような音楽からのコントラストをしっかり出して、「はっきり出てね。」ということだと思います。ただし、硬い音やきつい音にならないよう、低音楽器とブレンドする、豊かな『丸い音』になるといいと思います。

 [D](29)からはあとうちですが、ここはオモテにテューバがいません。管はファゴット、バスクラ、バリサクだけがオモテです。小編成バンドにはつらいものがありますが(余談ですが、この曲、もともとは大編成で書かれたんだそうです)、オモテとウラのバランスをうまくとって。要するにあとうちがでかすぎないように気をつけましょう。そのほか、あとうちの注意事項は他のマーチでいっぱい書いたので、そちらも読んでくださいね。

 さて、[D]3小節目(31)を見ると、1~2拍目ではまた2ndと3rdが逆転してますね。入れ替えも試してみてください。というか、普通に上からEs、B、Gでいいじゃん。2ndはBのままでいいじゃん、と思ってしまいます。ダメ?

 [E](37)から、ユーフォと一緒にオブリガート。書いてあるとおりマルカートで軽やかに。3小節目(39)は、アーティキュレーションにとらわれてぎこちなくならないように気をつけたいですね。4小節目ははっきりと。ただし、リズム注意。がんばりすぎて付点が甘くなってはダメです。16分音符のDは当然4ポジションで。これを1ポジで吹く人はきっといないと思うけれど…。

 Trioです。3~4小節(47,48)は、ほかの楽器とも吹き方や音の形をそろえますが、抜く感じのマルカート。硬くなく。[F]1小節前2拍目裏で軽くきめますが、そこに向かうクレシェンドがありますから、2小節間の自然な流れになるようにしたいですね。だんだん近づいてくる感じ。突然ffにならないようにしましょう。

 [F](49)のあとうちですが、今度はアタマがテューバとコントラバスだけです。しかも、パーカッションがいません。テューバ、ベース、トロンボーンだけで安定した軽やかな伴奏が作れなければなりません。そして、よそでも書きましたが、あとうちからもちゃんと『ハーモニー』が聞こえるように。長い音にして合わせてみたりもしてくださいね。そして、時々出てくるシンコペーションの形。裏拍の4分音符は当然かるくアクセント。

 [F]8小節目(56)アクセントは合いの手です([G]1小節前や8小節目も)。みんなでそろえて少し目立って。そして9小節目(57)からの強弱は、メロディに寄り添うように。勝手にやってはダメです。

 [G]9小節目からのハーモニー、きれいにつくりたいですね。歌うように。でないと息も続きません。強弱の変化は旋律と一体になるように。[H]4小節前(77)1stと3rdのEsオクターブ、きれいに合わせて。上のEsは気をつけないと高くなりがちだと思います。

 [H]1小節前(80)2拍目、少し印象的に聞かせたいですね。テューバともよく合わせましょう。ここはトロンボーンとテューバだけなので、純正律で。アクセントがありますが、ハーモニーを意識して、くれぐれも硬い音にはならないようにしましょう。

 [I](89)のアウフタクトからのメロディですが、[J]7小節前(98)以外の下のCは、F管を使わず6ポジションの方がいいと思います。ためしてみてください。そして、C→Desの音程がきれいに合うよう気をつけましょう。もちろん、トランペット、ユーフォと合わせてください。

 [I]の10~11小節(98,99)の1stですが、トランペットなどもいるので無理に上を吹く必要はないと思います。もし上を吹くのなら、Gの音程は特に気をつけて。2ポジションですが、ふつうの2ポジションよりもかなり近くです。そして、上体は楽に。硬い音にならないように。

 最後2小節前のベルトーン、バランスやテンポ、よく合わせて。もしかしたらGesやDesの音程が難しいと思いますが、濁らないように、ゆっくり合わせてみましょう。アクセントですが、硬くならないようにタンギングは軽く。

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