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ピッコロマーチ

トロンボーンパート解説

 『ピッコロマーチ』というかわいらしい名前のついたこの曲、3年前の課題曲『エアーズ』の作曲者であり、千葉県は名門柏高校ブラスの顧問でもある田嶋勉先生の曲。軽くさわやかな演奏になるように気をつけたいですね。トロンボーンには、メロディ、ハーモニー、それからマーチでお決まりのあとうちと、オーソドックスな役割が与えられていますが、オーソドックスな中に基本的技術が要求されます。

 前奏はバンド全体がBのユニゾン。もちろんきちんとユニゾンになることが大切ですが、さらに、軽くクリアなアクセントになるよう、決して重たくならないよう気をつけましょう。それから、息は『一個一個の音符に別々に』ではなく、『2小節間のフレーズに対して』流すこと。音と音の間も息の支えが抜けないように。

 [B](11)からはハーモニーですね。最初のEs durは1stのEsと2ndのBの音程が広くなりがちです。よく合わせましょう。2nd弱すぎないように。ハーモニーは、声で歌って合わせてみるのも役立ちますよ。そして、2小節単位でクレシェンド、ディミヌエンドがついていますね。『書いてあるからしました』という感じの不自然なクレシェンド、ディミヌエンドにならないように、ハーモニーとフレーズを感じてください。[B]5小節目(15)の1stと2ndのEsのユニゾン、注意深く。そのあと6小節目(16)のクレシェンドは、まわりと気持ちを合わせて。スタッカートの8分音符は軽く。

 [C](19)アウフタクトからは低音楽器群とともにメロディですね。重くならないようにクリアに吹きたいところです。でも、クリアに吹くことと発音をぶつけることは全然違いますから気をつけましょう。はっきりことばをしゃべる感じ。途中に出てくる符点のリズムがくれぐれも3連符にならないように。はつらつとした感じ。舌に力が入っているとうまくできませんよ。1個1個の音ではなくフレーズをかたまりで捉えることが、発音にも助けになります。そしてまずここは、低音楽器の人たちとゆっくりのテンポで合わせてみてくださいね。

 [C](19)のあたまの低音Cは、F管付きの楽器の人も6ポジションがおすすめです。アウフタクトのEsから半音階ですからね。さらに、この旋律では右手の技術も要求されますね。16分音符から次の1拍目へは特にすばやくスライドが動かなければなりませんが、そのためにも右手のリラックスが大切になります。手首も硬くしないで。もっとも、F管付きの楽器なら中音のCはF管の1ポジションでも出せますが、それを使うのはインチキでしょうか(汗)。

 [D]の2小節前(23)からはユニゾンですが、ホルンと一緒に合わせるとハーモニーになっています。ハーモニーを感じることも大切ですが、トロンボーンの中でユニゾンがひとつに合うこと、それから、クレシェンドの気持ちがみんなと合うことが大切です。まわりのクレシェンドをよく感じて。さらに、[D](25)の直前で一瞬でもディミヌエンドが入ってしまうとせっかくのクレシェンドが台無しです。何のためにクレシェンドがあるのか考えてみましょう。

 [D](25)からのハーモニー、コードはわかりますね。ここは、各音を発音したらそのあとは少し抜く感じにするといいと思います。ほかの動きの邪魔にならないように。ただしハーモニーは忘れないこと。4小節目(28)のクレシェンドは、みんなと気持ちを合わせましょう。

 [E](31)からは[B](11)の再現ですね。そして、Trio1小節前(38)からTrioへ入る部分は走らないようにくれぐれも気をつけてください。もちろんこれはトロンボーンだけではなくバンド全体ですが…。マーチは基本的に『In Tempoの音楽』です。テンポをキープすることは、マーチ演奏の大前提です。

 [G](49)からはハーモニーです。フレーズを感じてください。4小節目(52)まではクレシェンドやディミヌエンドは書いてありませんが、ほんのちょっと付けてもいいかもしれませんね。ただし、作為的にはならないこと。クレシェンドやディミヌエンドをするのには意味があります。そして、4小節目(52)3rdのFは6ポジションがおすすめです。次の小節は1ポジションで。さらに、5小節目(53)1stのDは4ポジションも、7小節(55)2ndのBは5ポジションも検討してみてください。ただし、どの替えポジションも音程には気をつけて。

 [H](57)はハーモニーですが、ホルン、アルトサックス、アルトクラも一緒ですね。そして、この部分、アクセントが書かれているのはハーモニーグループと低音2,4拍グループだけです。低音グループとうまく呼応するようにつくってみるといいと思います。3小節目(59)1stのDは4ポジションも検討してください。6小節目から4分音符になります。アクセントの表現は続きますが、ぶつけないように。もちろんハーモニーを意識して。ホルンやユーフォや低音楽器とゆっくりのテンポで合わせてみましょう。

 [I](65)から4小節間は『スパニッシュ』ですね。スフォルツァンド、アクセントはエッジをきかせて。でももちろん、ぶつけるわけではありませんよ。1stのDは、4ポジションがおすすめです。ただし、音程には気をつけて。Gの4ポジションと同じではありません。5小節目(69)2拍目はピラミッド。テューバやコントラバスに乗っかるようにするとうまくいくと思います。ここから[J]に入るまでは、ハーモニーグループはオクターブとユニゾン、それに完全5度と完全4度だけですから、純粋な響きになるよう合わせましょう。もちろんクレシェンドは気持ちを合わせて。

 [J](73)からはオブリガート。トロンボーンらしくはつらつと吹きたいですね。でも、『大きく吹こう』なんて身構えるとうまくいきませんよ。もちろん吹き方はややアクセント気味のマルカートで。その方が、旋律のレガートとの対比にもなります。さて、オクターブ跳躍で上がった音が、下の音と同じ豊かな響きになるよう気をつけたいですね。そして、[K]4小節目(84)、ディミヌエンドしても、響きを失わないように気をつけたいところです。どちらも、息の支えが大切ですね。

 そして、[K]5小節目(85)からは全体の強弱が下がっています。トロンボーンは伴奏になりますので、さらに小さくするくらいでいいと思います。[L](91)のクレシェンドもまわりと息を合わせて早すぎないように。3小節目(93)の3rd、フォルティシモですが、『ピッコロマーチ』ですから、ごつくならないように。テューバの響きにうまく入りましょう。Cは6ポジション、BはF管の3ポジション(ただし遠めでほとんど4ポジションに近い)も検討してください。そして、最後の小節はかわいらしく。

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