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行進曲「道標の先に」/岡田康汰

全体解説

 今年の課題曲はマーチが3曲で、3曲とも拍子が違います。この曲は6/8のマーチです。6/8というのは1拍に2つではなく3つ音が入る拍子。指定のテンポが126と、マーチングマーチ(120くらい)より少しだけ速い設定ですので、ともすると忙しい感じになりがちだと思います。フレーズや流れを感じて少し楽に演奏する意識でいけるといいと思います。もちろん6/8の拍子感を持って演奏すること。課題曲IIIでも書いたように、指揮が1拍にちゃんと3つ音が入って見える2拍子を振れるかどうか、言い換えると、ちゃんと6/8の拍子感を持って振れているかどうかも、バンドから6/8のビートが出てくるかどうかの大きなポイントです。

 Tutti率(全体に占める全奏の割合)は約45パーセントと、マーチとしては平均的だと思います。そして楽譜にはほんとうに必要なアーティキュレーションのみが書かれているように思いますので、それをどう解釈するのか、どう表現するのか、よく考えて。アクセントがあるからただ強くする、ではなく、イメージを持って演奏したいところです。打楽器は同じ動きの管楽器をスコアからチェックして、その管楽器のアーティキュレーションも把握しおくことは大切です。

 ハーモニーがとても緻密に書かれています。たとえば一例として、[A]の4小節目(12)の小節、最後の8分音符の経過的なB♭m7の響き、6小節目(14)の同じく最後の8分音符のG♭7の響き、前後の流れの中でよく感じてみましょう(C→G♭7→Fsus4→F)。そしてホルンやトロンボーンの刻みパートは全部ハーモニーです。ぜひ長い音にしてハーモニーの流れを合わせてみてください。楽譜倉庫に、あとうちハーモニー練習楽譜2019がありますので活用してください。合わせるときはぜひ低音楽器と一緒に。楽譜通りの刻みリズムになっても、ちゃんとハーモニーが聞こえるように。

 イントロ、2小節目4小節目、それぞれ2拍目の符点4分音符にはアクセントがなく、スラーでつながった次の1拍目8分音符にアクセントがあります。かといってそこに向かってクレシェンドが書いてあるわけでもなく(してはいけないということではなく)、これをどう解釈演奏するのかで印象が変わってくると思います。また、このあとにも何度も出てくる8分音符3つの1つめだけにアクセントのついた音型、ビート、重心感を出すのか、それともその音を文字通り強調するのか、このアクセントをどう捉えるのかで演奏が変わってくると思います。[A]1小節前(8)、金管の符点2分音符、パートによっては前のユニゾンの動きからの跳躍が大きく演奏し辛いかもしれません。もちろん8分音符の動きをおろそかにするわわけではありませんが、付点2分音符のハーモニーを大切にしたいですね。

 [A](9)の旋律、たとえば3小節目(11)の実音C、ここはハーモニーはB♭なので9の音なのですね。それが次の8分音符で解決する、こういう響きに意識があるかないかで演奏は変わってきます。もちろん[B](27)、[E](75)も同様です。それから低音の動き、途中に時々出てくる、4分音符と8分音符がスラーでつながった拍、ここをどうするのか、少しだけ強調するのか、そんなことでも音楽は変わってきますよ。

 [B](27)から旋律にフルート、ピッコロ、オーボエ、Esクラ、トランペットが加わります。強弱も[A]のmpからmfに上がってはいますが、楽器がいきなり増えますので頑張りすぎずらくに。そしてトランペットは3rdがお休みです。[C](43)のトロンボーンは1stがお休みだったりと、こういう箇所がこのあとにも時々あったりするのですが、これをもしパートの全員で吹いてしまったら…、『この箇所には3rdトランペットがないことになる』、『1stトロンボーンがないことになる』と解釈されてしまうと『楽譜通りではない』と判断されてしまう恐れがありますよね。もし全員で吹こうとしているバンドがあったら、各県の吹奏楽連盟に問合せをしておいた方がいいと思います。にしても、どうして[B](27)は3rdトランペットがお休みなのか…、厚くなりすぎないようにという配慮なのかもしれないですね。[C](43)の1stトロンボーンがお休みなのは、その前の動きからの音域の変化が大きいことからの配慮のように思うのです。ちなみに作曲の岡田さんはトランペットなのだそうで、金管楽器へのこまかい配慮なのかもしれません。

 [C](43)、低音の旋律は、ぜひレガートでも練習してください。少しゆっくり。息の流れ。楽譜通り演奏したときも、ただ『ひとつひとつの音』ではなく、ちゃんとメロディとして聞こえるように。この個所に限らず、マルカートやノンレガートの動きもみんなレガートや長い音にして練習してみることはとても有益です。そして[C](43)はニ短調→5小節目(47)からイ短調、[D](59)はニ短調→5小節目(63)からト長調→9小節目(67)からハ長調になって[E](75)でヘ長調に戻ってくる、その調性変化もちゃんと感じて演奏したいですね。

 [E](75)は[B](27)とオーケストレーションが同じですが、強弱がmfからfに上がり、メロディとオブリガートにはレガートがありません。こここそ、ちゃんと違いをつけたいところですね。Trioの4小節前(87)で初めて全員がffになり、Trioの小節に向かってさらに盛り上がる、冒頭からここまでの流れ、ちゃんと俯瞰してつくりたいところです。

トロンボーンパート解説

 では、トロンボーンパートを見ていきましょう。まず伴奏系の『タッタタッタ』のリズム、ちゃんと6/8のビートになるように。間の8分休符を音符にして『タタタタタタ』にしてみるなどの練習も必要に応じてやってみてください。そしてとにかくハーモニーを大切に。[C](43)、[D](59)の旋律は低音楽器と一緒に練習してください。書いたように、調性を大切に、レガートでも練習を。

譜例

 [J](143)からのオブリガート、なかなか忙しく大変ですが、軽く。もちろんテンポを落としてレガートでの練習もしてください。[J]4小節目(146)などヘミオラのリズム正確に。たとえば3小節目(145)から全部8分音符2つに刻んで、上の楽譜のように練習してみてください。[K]6小節目(164)のヘミオラのリズムも同様に、正確になるよう練習してください。ちなみにC音とEs音の3ポジションは、楽器によっても違いますが、同じ3ポジションではありません。音をよく聴いて、スライドで音程調節を。さらに、上のD音は必要に応じて4ポジションの使用も検討してみてください。

 それでは、いい演奏になりますように。

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