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マーチ「エイプリル・リーフ」/近藤悠介

全体解説

 今年の課題曲はマーチが3曲。3曲を見てみると、いちばんオーケストレーションが厚くTutti(全奏)の部分が多いのがこの曲で、Tutti率(曲全体に占めるTuttiの割合)は55%ほどにもなります。全体の半分以上の部分は全員が音を出しているのです。そして3曲のマーチ、3曲とも拍子が違いますね(4/4、2/4、6/8)。この曲は課題曲マーチによくある4拍子マーチ。ですので演奏に際して4拍子の拍子感は大切にした方がいいように思います。では、4拍子の拍子感ってどういうものでしょうか。

 『拍子的に』見ると、1小節の重心は1拍目なのですが、それを引き出すのは4拍子の場合、その前の小節の4拍目。4拍目から次の1拍目への方向性を少し意識に置いてみるといいように思います。具体的にこの曲の場合、たとえば[A](5)からの低音パートをこんなふうにして合わせてみるのも、ひとつの練習方法かな、と思います。
譜例

 それから、部分的に転調する箇所では調性感(その調の中にいる感じ)を持って響きに意識を向けられるといいと思います。たとえば[A]の7小節目(11)と[B]5小節目-6小節目(17-18)、[F]の5小節目-6小節目(37-38)はAs-durに、[D](25)から6小節間はf-mollに、Trioで下属調のB-durに転調しますが、[I](75)から2小節間As-dur、[I]3小節目(77)から2小節間E-durというふうに、部分的に転調するところでもその調性の中にいられるといいと思います。こんなとき、階名唱ができるとプラスになると思いますよ。

 そしてこの曲は、音符の上にアーティキュレーションが比較的多く書かれています。その意図をどう読み取るか。あまり意識する必要のないアーティキュレーションも多いように思います。たとえば[C](21)の伴奏型、8分音符にいちいちスタッカートが書かれていますが、これは単に16分音符と同じような長さで、という意味だと思われ、ことさらに短くしすぎる必要はないように思います。

 そのほか、打楽器の使い方など含めて概ねオーソドックスな課題曲マーチだと思います。例によって打楽器にはあまりアーティキュレーションが書かれていませんが、管楽器と同じ動きをする打楽器は、管楽器に書かれているアーティキュレーションを把握しておくことは大切だと思います。もちろん、どの楽器が自分と同じ動きをしているのかを把握することはどの楽器にとっても大切なのですが、打楽器はそれが特に大切なのです。

 テンポが138と、普通のアレグロマーチ(132)より少しだけ速めです。そのテンポ感をよく身体に入れて、最後まで一本筋が通るようにしてください。各旋律とオブリガート、どの楽器も、一旦全部レガートにして練習してみる。息の流れ、フレーズ感、音のつながり、抑揚。そこから、楽譜通りのアーティキュレーションにしていくということをしてみると、得るものが多いと思います。旋律は、中でハモリになっている個所も多いです。当然、声部のバランスに留意してください。木管各楽器、16分音符の動きが比較的多く出てきます。各音がちゃんと感じられるところまでテンポを落として、すべての音を身体に入れてください。

 イントロは当然、4小節目頭のドミナントに向かっていく方向性を持って。ただ単に大きくしていくのではなく、4小節間の起承転結を感じてください。ただし当然インテンポで。もちろん、ハーモニーの響きも感じて。3小節目、クレシェンドの最初を少し小さめから始めるのもアリだと思います。ただし、楽譜にそう指示があるわけではないので、やり過ぎないこと。そして、イントロのフレーズ終わりと[A]のアウフタクトの、4小節目3拍目裏での入れ替わりがきれいに行くといいと思います。

 [A](5)以降、伴奏型だけ取り出した練習もしてください。マーチではこれが大切です。だから伴奏型といっても決して脇役ではありません。あたまうち、あとうち。両者とも、1つ1つの音だけを見るのではなく、フレーズを感じて。あたまうち低音群は、4分音符のテヌートまたはレガートにして、長い音でラインをつくる練習もしてみてください。そして、マーチではあたまうちがテンポを牽引するエンジンです。バンドを引っ張っていく意識を持って。さらに、転調の個所の特徴音。たとえば[B]2小節前(11)のAs、Esなど、ちゃんと音程が感じられるよう響きを持って。大切です。

 ホルンとトロンボーンのあとうちパートは、長い音にしてハーモニーの響きとつながりを感じる練習を必ずしてください。楽譜倉庫に、あとうちハーモニー練習楽譜2019がありますので活用してください。合わせるときはぜひ低音楽器と一緒に。楽譜通りのあとうちになっても、そのハーモニーの響きと流れが感じられるように。すべての音からハーモニーが聞こえるように。そしてあとうちは(だけではないですが)、拍を縦ノリではなく横の流れで感じましょう。ハーモニーと流れが大切。

 Trioの2小節前(39)4拍目の♭9thの響き、よく感じてみてください。(上からE、Des、B、低音がC)。この2小節間(39-40)、ゆっくり合わせてハーモニーの流れをよく感じてください。

 [G](43)アウフタクトからの旋律、アルトサックス音域高いですが、やわらかく。[I]から2小節間(75-76)のモチーフが、そのあとの2小節(77-78)で繰り返しますが、両者のバランスに留意して。[K]1小節前(82)、ritがありますが、2拍目からは[K]の旋律のアウフタクトであることに留意して、[K]に流れをつなぐ意識があるといいと思います。4分音符はritがかかるにつれ音価は長くなることに留意。[L](95)からのクレシェンドは、1小節ずつ階段をのぼるような意識のほうがうまくいくかもしれませんね。

トロンボーンパート解説

 それではトロンボーンパートについてです。吹くところが多いですから、軽く吹くところと出るところ、メリハリをつけて。旋律、オブリガート、あとうちなど、すでに書いたとおりです。たとえばイントロや[I](75)、[М](100)などの音型も、発音やアクセントに意識が行きがちかもしれませんが、まずは『ハーモニーの意識』を持って演奏してください。伴奏型の中にあるクレシェンドは旋律に寄り添って。具体的には[B]2小節前(11)、[E]1小節前(28)、[F]2小節前(31)など。

 長い音でハーモニーの個所、具体的には[D](25)と、[G]7小節目(49)からですが、どちらもハーモニーを担っているのはトロンボーンのほかはホルンのあとうちだけ。美しいハーモニーにしたいです。それぞれ、ぜひ歌っても合わせてみてください。自分の音を声で歌えなければ、ハーモニーはつくれないと思うのです。ちなみに[D]は1小節ずつD♭maj7、E♭7、C(7)、Fm。それぞれ自分が何音なのか把握して。1小節目は1stと3rdのオクターブ、3小節目2ndと3rdの4度、4小節目は1stと3rdの5度を美しく。C音は低くなる人が多い傾向なので気をつけて。[G]もハーモニー分析してみてくださいね。ここは特に目立つので美しく。3パートのバランスも大切です。下のパートは上よりもわずかに大きく響かせて。上はその響きの上に乗るのがハーモニーのポイント。

 [K](83)からのマルカートのオブリガートも、テンポを落としてレガートにしても練習してみてください。上のDは4ポジションを使うのもアリだと思います。やりやすい、うまくいくポジションで。

 それでは、いい演奏になりますように。

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