FUKUMI, Yoshiro's Homepage

「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲/林大地

全体解説

 童謡の『あんたがたどこさ』を題材にしたこの曲、作曲の林さんは打楽器をされているということで、打楽器が効果的に使われている印象を受けます。演奏上の注意点としては、もちろんまず6/8のビートに慣れること、特に、時折出てくるヘミオラのリズムをきちんと決めること、さらに、要所に出てくる決めのリズムが毎回少しずつ変化します。それが全体で一体となって決まること。さらに、その決めの形は方向性を持って。たとえば[A]の1小節前(7)の決めのリズムは[A](8)の1拍目に向かう意識を持って。ただし、テンポはキープで!

 各モチーフの終わりの音が8分音符だったり符点4分音符だったりします。そのニュアンスの違いをきちんと出すこと、そしてハーモニーもよく感じて演奏して欲しいですね。特に、時折出てくる9の音や特徴的なカウンターラインは大切にしてほしいです。それでは、こまかく見ていきましょう。

 序奏1小節目はIV→Vのハーモニー、2小節目はB♭のオーギュメントに前から残った1stクラのCが入る、4小節目はD♭のディミニッシュ7ですが、そこにテンション的にフルート旋律のAsが入ると考えるといいと思います。旋律なしでハーモニー声部を響きを感じてよく合わせてみること。そこにフルートが入りますが、最後のAsはハーモニーにない音なので自信を持って。グロッケンとピッチが合うかどうかもポイントですね。

 6/8拍子になって各パート『タッタタッタ』のリズム、ちゃんと6/8のビートになるように。間の8分休符を音符にして『タタタタタタ』にしてみるなどの練習も必要に応じてやってみてください。指揮の振り方も大切だと思います。1拍にちゃんと3つ音が入って見える2拍子で振らないと、バンドから6/8のビートは出てきません。

 [A]1小節前(7)の決めは、1つめの8分音符が前からタイでつながっているパートの動き出しが遅れると合わなくなってしまいます。また、まんなかがタイでつながった『タタタータタ』のパート(トランペット)のタイが伸びてしまうと合わなくなってしまいますよね(これも一種のヘミオラですよね)。この両者、正確に。練習方法としては当然、それぞれタイを切って8分音符を発音してみるといいと思います。ここに限らず、たとえば伴奏型に時折出てくる、小節頭が8分休符の『ンタタタータ』の形、これも、8分休符に音符を入れてみる。意識としては、8分休符はお休みではなく、『音のない音符』だと思って演奏しましょう

 [A]10小節目(17)ハーモニーパート(ホルン、ユーフォ)、低音楽器と一緒にゆっくり響きをよく感じて確かめてみましょう。1番3番ホルンとユーフォにあるD→Es→E→Esのライン、よく感じて。

 [C](33)の旋律は、[A]と違って4分音符8分音符の形(タータタータ)です。もちろんテヌートで演奏するというわけではないのですが、このあとにも出てくるこの2種類の形の違い、キャラクターの違いをきちんと吹き分けてください。『音符の長さ』と考えるのではなく、『キャラクター』を決めて。

 [D]6小節前Tuttiでのヘミオラの決め、きちんと。8分音符単位のビートを持って。8分音符できざむ練習もしてみてください。そして[D]の2小節前の決めは8分音符のパートとヘミオラのパートとあります。きれいに合ってビートを出したいところです。

 [D](53)、9小節目(61)、ハーモニーの中にある9の音(Es、G、Bに入っているF音、クラリネット3rd、アルトサックス2nd)、少し大切にしたいところです。ハーモニーパートだけ取り出して響きを感じてみてください。ここに意識があるのとないのとでは演奏が変わってきます。[L](150)、9小節目(158)も同様です(ここは3rdクラだけ)。

 中間部に入って、[H]1小節前(101)Gmに9の音(A音、1stクラ)が入った響き、よく感じて。[H]からはレクイエムだと言われた方がみえました。いろいろストーリーを考えてみるのもいいと思います。1小節目(102)と3小節目(104)、A♭のコードに入っている9音(B♭、2ndトロンボーン)、少し大切に。同じく5小節目(106)と7小節目(108)はコードは同じですが3rdホルンに9の音(B♭音)があります。こういうハーモニーの中の特徴的な音と響きはよく感じてみてください

 [I]2小節目(111)4拍目の打楽器、次の1拍目に向かう方向性を持って奏するといいと思います。ただしもちろんテンポはキープで。その2小節後も同様です(ここにはクレシェンドがありますね)。[J]3小節前(116)、Fのsus4から解決する動き(B→G→A)、当然大切に。テナーサックスとユーフォ、少し出し気味でいいと思います。2ndトロンボーンもハーモニーの中にB→Aがあります。

トロンボーンパート解説

 それではトロンボーンパートを見ていきましょう。こまかい伴奏型では特に、発音は軽く。必ず音程とハーモニーが聞こえるようにしましょう。長い音にしてハーモニーの響きとつながりを感じる練習をしてみてください。楽譜倉庫に、あとうちハーモニー練習楽譜2019『「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲』トロンボーン編があります。低音楽器と一緒に少しゆっくりめのテンポで合わせてみてください。楽譜通りに演奏したときにも、ちゃんとハーモニーが聞こえるように。そして、伴奏系に時々出てくる4分音符は、自然に少し大きくなっていいと思います。

 [F]1小節前(80)2拍目から次の1拍目へのグリッサンド、1stのFis→Dは、倍音を変えずにグリッサンドにするためには3→7ポジションが必要です。7ポジションは音程など難しいので、ぜひヒモを使ってください。ブログに作り方を書きました(紐のつくり方)。[H]5小節前(97)、2ndと3rdの動きは、4→F5→F4→6→5→4という手もあります。どちらでもやりやすいポジションで。

 [H](102)のハーモニーについては書いたとおりですが、メロディ(オーボエ)のニュアンスに合わせてみるのもいいと思います。[I]1小節前(109)3拍目から、同じE音から始まって広がってCのハーモニーができる個所、大切にやわらかめでハーモニーの響きをよく感じて。[I]で変イ長調に転調しますが、なにしろハーモニーを担っているのはトロンボーンだけなので大切です。低音楽器も一緒にハーモニーの流れをよく合わせてみてください。

 [K](134)からの旋律は、グリッサンドを少し強調していいと思います。4小節目(137)と8小節目(141)、下がった先のB音の5ポジション、音程注意。楽器によっても違いますが、普通の5ポジションより少し近めです。よく聞いて。

 それでは、いい演奏になりますように。

ページトップへ戻る

課題曲解説/目次へ