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古き森の戦記/塩見康史

全体解説

 作曲の塩見さんにのエッセイよると、この曲は太古の深い森を舞台にした戦国絵巻なのだそうです。序奏は深い森の神秘と暗さを、[A]からの角笛の主題、[E]からのサックスに出てくる主題が、それぞれ戦いの2つの勢力を表しているのだそう。そんなことを頭に入れてスコアを見たり音を聴いたりしてみると、物語、場面が目に浮かぶようですね。作曲者も書いてみえるように、ドラマチックな音楽なのですが勢いだけにならず冷静に、丁寧に演奏してほしいと思います。意味のない大音量にならず、その場面、表現したいもの、意図を明確に持って演奏してほしいですね。

 この曲に限らずですが、全員がスコアを見ることが大切だと思います。アクセントなどアーティキュレーションが、とてもこまかく書き分けられています。強弱も意図して立体的に書いてあります。それを決しておろそかにすることなく、意味をよく推し量って演奏することが大切だと思います。8分音符や16分音符などの短い音の長さも大切だと思います。どんなに短い音にも、その音の長さがあります。そして、どの楽器も音域が低いです。深みのある低音域、そして、特に角笛のモチーフでは跳躍の攻略もポイントですね。

 序奏、スコアを読み込んで立体的に。低音は『ff』、2拍目から入る各楽器は『f』。明確な違いを持って。2小節目2拍目からディミヌエンドですが、3小節目あたまで終わる楽器は『p』まで(1stクラリネット以外)、残る楽器は『mp』まで。そのmpに乗って出てくるフルートピッコロの旋律は『mf』です。それを受けて出てる4小節目のクラリネット3rd、アルトクラ、ユーフォの動きは『mp』。アーティキュレーションの違いにも注意。5小節目のオーボエは『mf』。こういう立体感、遠近感を大切に。あたまの低音群、どんなディミヌエンドにするのかも合わせどころですが、松葉の始まりは3拍目であることに注意。

 [A]『f』で始まった伴奏が『mf』にディミヌエンドして、そこに出てくるホルンの旋律は『f』。さて、この『角笛の主題(第一勢力のテーマ)』、縦型アクセントで出てくる時とアクセントなしで出てくる時とありますね。そして、あえて普通のアクセントではなく縦型なのはなぜでしょう。[B]2小節目や4小節目のトランペットとトロンボーンなどに出てくる動きも、この主題の変形と考えていいでしょう。

 さて、この第一の主題、音域が広く難しいですね。ぜひテンポを落として、テヌートまたはレガートにして練習しましょう。狙いは、こまかい音までちゃんと捉えて身体に入れることです。跳躍して上がった音がうまくいかないことよりもむしろ、途中のこまかい音がちゃんと鳴らない場合が多いと思います。そして、それが結局、上がった到達音がうまくいかない原因になっていたり…。たとえばホルンでいえば、[A]2小節目(10)の16分音符を吹いている時にはすでに、その次の実音Fしか見えていなかったり、3小節目(11)の4拍目を吹いている時にはもう、次の小節の実音Asしかあたまになかったり…。それが、上がった音がうまくいかない原因である場合もあります。先の音ではなく、今吹いている音を思って。

 [B]直前のクレシェンド終わりに[B]のにおいをさせない。最後まで緊張感を持って。[B]5小節目で色が変わるところも、その直前でそれをにおわせない、4小節目は最後まで緊張感を持って。そしていちいち書きませんが、強弱やアーティキュレーションの違いをよく読んで立体的に。[B]のピッコロ、フルート、オーボエ、エスクラ、3rdクラ(4拍目から)の動きのつながりは、もちろん取り出してゆっくりから合わせて。

 [C]トランペット、ホルン、低音のリズムは偶数拍の2つの8分音符に気をつけてテンポキープを。16分音符をなくして、4分音符8分音符8分音符の形でも練習してみるといいかもしれません。そして、ただテンポやリズムをキープするだけではなく、なんだか土俗的な感じが出るといいですね。

 [C]からの『角笛の主題』には各楽器アクセントがありません。そして逆に、トロンボーンの2分音符の動きにはアクセントが付きました([A]2小節目にはありませんね)。この意味と表現、よく考えて。[E]2小節前からのクラリネットの動きは、弦楽器のイメージでいくといいかもしれません。[F]6小節目4拍目で全員が集合することを全員が意識に置いて。ただし、アクセントがある楽器とない楽器があることに注意。

 中間部[G]、特に5小節目以降、それぞれの動きが、1つ1つの音やリズムにしか意識がないと、流れがつながらなくなってしまうかも。まず全員が同じテンポの流れの中で。それから、[H]4小節前からは、まず1小節ごとの響き(ハーモニー)の移り変わり、小節ごとの色の変化をよく感じてみましょう。[H]1小節前のトランペット、この場面唯一のアクセント。印象的に。

 [H]から、2つの勢力の戦いが始まるわけですが、やはり楽譜、スコアをよく読み込んで、主題をよく浮き立たせて立体的に創っていってください。[L]5小節前、サックス、クラリネット、フルート族とつながる16分音符の動きはフルート族が相当出さないと聞こえなく難しいところですが、うまくバランスを取りたいです。最後、[L]の金管は、つながりをよく練習して。低音は2小節目あたまの4分音符の長さに注意。ほかの楽器はそこで終わりではないことを意識に置いて。[L]4小節目、音が変わる楽器(3Cl、AltCl、Ten、Bari、4Hrn、Eup)大切ですね。そして低音群は『mp』で入ってくることに注意。

トロンボーンパート解説

 それではトロンボーンについて。音域が低いです。深みのあるしっかりした低音を。3rdはぜひバストロンボーンで。音域が低いハーモニーは濁りやすいので、特に注意深く。たびたび出てくる難しい動きですが、ゆっくりテヌートまたはレガートでも練習を。[K]3小節目からの動きは特に音的にイヤな感じですが、右手をらくに、必要最小限の力でスライドを動かすように。最後の上がったD音([K]5小節目3拍目)は4ポジションも試してみてください。

冒頭2nd、低音群との短三度よく合わせて。テナーサックスも同じなので低音、テナーとも練習を。[A]、頑張りすぎないで深みのある低音。3rd、下のFはF管で無理矢理ピッチを上げるようなことはしないで、6ポジションで。響きが全然違います。[A]4~5小節目の1stは伴奏型ではなくsolo、またはsoli(複数人で吹くなら)です。意思を持ったアクセントで。

 [D]3小節目から、1stと2ndのハーモニー、大切です。[D]5小節目で色合い(調性)が変わります(F-dur→B-moll)。ですので絶対に美しく決めたいところです。バスクラ、ファゴット、ユーフォと一緒に合わせてみましょう。ユーフォの下のHもピッチが難しいところ。すぐにチューナーに頼るのではなく、流れで響きを聴いて、そしてそれぞれが自分の動きを声で歌えるようにしましょう。[E]4小節目(Bm)、8小節目(Em)もハーモニー大切に。

 [H]6小節目、1stの最後のD音、[I]3小節目、1st2ndの最後のD音、いちばん最後の小節の1stのD音は、それぞれ4ポジションも試してみてください。

 それでは、いい演奏になりますように。

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