香り立つ刹那
トロンボーンパート解説
課題曲5を高校も選べるようになって4年目、今年のこの曲は難易度も高く、もちろん他の4曲とはまったく違ったアプローチが必要になります。まず、こういういわゆる現代音楽といわれる曲に取り組む場合、すべての演奏者がスコアを見ることが必要になると思います。自分の楽譜をただ音にするというだけでは、全体としての完成度は低くなってしまいます。でも、こういう曲のスコアを見ていると拒絶反応が起こりそうですね。見るからに、難解そうです。では、どんなポイントに注意して読めばいいのでしょうか…。
まずこの曲の場合、拍の単位が4分音符ではなく8分音符です。それに慣れること。それから、スコアの中で自分たちと同じ動きの仲間を探すこと。部分的に同じということもあるでしょう。それを把握すること。それから全体を見て、決めどころを見つけて把握する。それぞれの動きをしている各楽器が、ぱっとそろって決まるところ、それを把握しておく。逆に、空きどころ。音がなくなる瞬間。これも見つけておく。それから強弱の指示。同じような動きでもパートことに違っていたりします。そういう立体感が出るように。
7小節目、ホルンと仲間。まわりはfですがpとクレシェンドのニュアンスを合わせて。10小節目、金管群に途中から合流。流れに乗ること。ディミヌエンド、音終わりまでていねいに合わせて。1stトランペットをよく聞いて。[A]の1小節前(11)、もちろん強弱などニュアンスを合わせますが、金管は木管より強弱がひとつ小さく書いてありますから大き過ぎないように。8分音符は音価いっぱいに意思を持って。こういう短い時間でのクレシェンドやディミヌエンドがたくさん出てくるのもこの曲の特長。ニュアンスをそろえて意思を持って表現できるように。
[A]の2小節目(13)アウフタクトからも、トロンボーンは他パートとは強弱指示が違うことに注意。3小節目(14)で合流。ただしここはホルンとは音の長さが違うことに注意。トランペットに寄り添う感じでいくといいと思います。a tempo(15)からトロンボーンパートでよくニュアンスを合わせて。
[C]の1小節前(21)から。ここも、強弱をしっかり表現しましょう。1st、[C]3小節目(24)のD音、4小節目(22)のF音、5小節目(23)のEis音、それぞれ4ポジションの使用を検討しましょう。
[C]の8小節目(29)、9小節目(30)、[D]の1小節目(32)、3小節目(34)などのクレシェンドは特に、行き先をきちんと意識。[D]の1小節目のクレシェンドは、全体の決めどころです。1stのA音、きちんと音価いっぱいクレシェンドで。
[E]の5小節目(48)、2ndと3rdの最後の音は、次が空間なので残らないように音価を正確に。[H]の2小節前(65)から、1st、2ndのシンコペーションはもちろんアクセント型がいいと思います。[H]から、それぞれ乗り遅れないように流れに乗って。[I]の1小節前(69)の符点4分音符は音価いっぱいしっかりテヌートで。でも、ここも次が空間なので残らないよう正確に。
[I](70)、同じ音型でも、フォルテで始まるグループとメゾフォルテで始まるグループがあることに注意。この箇所に限らず、こういうグラデーションがきちんと表現できるように、この曲の場合特に強弱指示はかなり正確に演奏する必要があると思います。
[J]の1小節前(76)、[L]の5小節目のそれぞれ1stのD音、4ポジションの使用を検討しましょう。
それでは、いい演奏になりますように…。