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行進曲「よろこびへ歩きだせ」

トロンボーンパート解説

 今年のマーチ2曲のうちの1曲、テンポが遅めで個性的なマーチです。作曲の土井康司さんは教会オルガニストで賛美歌などを書かれているのだそうです。このマーチもトリオは(トリオとは書いてありませんが)なんだか賛美歌のようですね。ちなみにトリオに書かれている『Pregando』は『祈るように』という意味です。しかしやはりマーチですので、きちんとテンポを持って演奏しましょう。トロンボーンにはシンコペーションの伴奏形は出てきますが、普通のマーチにお決まりのあとうちは出てきません。ではこまかく見ていきましょう。

 まずイントロです。ここは当然トロンボーンだけではなくホルンやトランペットと一緒に練習しましょう。最初からリズム通りに合わせるのではなく、まず各拍のあたまの音を4分音符にして少しゆっくりの速さで合わせてみます。そのハーモニーの変化や、響きがだんだん広がっていく感じをよくおぼえてください。全体の響きをつかむことがまず大切です。2ndと3rdの下降形、弱くならないように、1stトランペットや1stホルンの上行形と対等に出るようにします。

 そして楽譜通りに合わせますが、まずリズムを正確に。『Maestoso』の堂々とした感じが出るためにはリズムの正確さは不可欠ですね。そのためには8分音符単位、16分音符単位で拍をカウントしましょう。8分音符で手拍子をしながら歌って合わせる練習などもいいと思います。各4分音符や8分音符についているテヌートのニュアンスをよく合わせましょう。長さだけではなく張りや音のスピード感なども。16分音符も短くなりすぎないように。[A]の4小節前~3小節前(8~9)も、音だけ取り出して合わせて響きをたしかめてみましょう。2ndがきれいに第3音に解決するように。

 [A](12)、イントロでやったようにハーモニーの変化を取り出して合わせてみましょう。そして、これは『伴奏』ではなくメロディグループのハーモニー付け、メロディグループの一員という意識で。4分音符とスタッカートの8分音符の長さやニュアンスをメロディと合わせます。[A]1小節目(12)と2小節目(13)のリズムはメロディから16分音符を取った形だと思うとわかりやすいですね。あとに出てくる形も同様です。

 [A]7小節目(18)、14小節目(25)の1stそれぞれD音は4ポジションがオススメです。ただし高めになりがちなので音程注意。どれも長和音の第3音ですし、他パート各所にもD音があります。[A]の4小節目(15)や12小節目(23)1拍目の8分音符2つは転ばないようにきちんときめて。[A]4小節目(15)2拍目裏の3rd、12小節目(23)2拍目裏の2nd、3rdの各8分音符に付いているテヌートは、旋律のアウフタクトと同じニュアンスで。

 3rd、[A]5小節目(16)アウフタクトから4小節間、[A]13小節目(24)アウフタクトから4小節間は低音群の音に合流です。内声の部分とバスの部分、それを把握して吹くことは大切です。そしてこの部分、途中に8分休符が入りますが、4小節を1つのフレーズとして吹きたいところ。8分休符で音楽の流れが止まったり伸びたりしないようにしたいですね。8分休符は『お休み』ではなく『音のない音符』です。[A]13小節目(24)アウフタクト(テヌートの8分音符)から4小節間は2ndも同様です。

 [B]13小節目(40)アウフタクトから、気をつけることなどはイントロと同じですが、出だしの音が低いですから16分音符がぼやけないよう少し大きめに吹くつもりで。低いCのユニゾン、音程注意。そしてちゃんと響きを持って。

 [C](46)は[A]と同様。13小節目(58)から、1stと2ndは1拍ごとに音が分かれたりユニゾンになったりします。それを把握して吹くこと。ユニゾンは音程が合わないと特に気になるものですが、だからといってこっそり吹いたら余計に合わないので、まずは意思を持ってちゃんと自分の音程を吹くこと。そこから合わなかったら修正していきます。ここも、1stのD音は4ポジションがオススメ。16小節目(61)最後の16分音符はトロンボーン1stと2ndだけなので、埋もれないようにはっきり少し大きめに。[D]4小節前(64)の8分音符2個はくっつかないようにリズム正確に。

 [E]2小節前(90)からの2ndと3rd、ホルンとともに、[E]のフォルテに導くクレシェンド。決して4分音符1個1個をふくらませないように、ひとつながりのクレシェンドで。

 [E](92)は、Tuttiのコラール。バンド全体がひとつの合唱隊のようなつもりで演奏します。どのパートも自分のパートだけではなくメロディのラインを把握してくださいね。1stに出てくるD音はどれも4ポジションがオススメです。3rdは低音群とともにバス声部ですね。スラーのところとテヌートのところがあります。スラーのところはコラールのバス声部。全体の支えです。テヌートのところは低音だけの動き。自分のセリフをしゃべるようにクリアに。[E]12小節目(103)から13小節目(104)へのD→Asの増4度は特に大切だと思います。

 [F](116)から、気をつけることは[A]に準じます。

 [G]の9小節目(140)から、シンコペーションの伴奏型。その前から同じ形をやっているサックスやホルンなどの流れに自然に合流するように。そして、フルートやクラリネットなどメロディの動きを邪魔しないように控えめに。8分音符に付いているスタッカートは短すぎないようにします。響き、ハーモニーがちゃんと聞こえるように。そして4分音符に少しだけ重心を置きます。テヌートなので音価は保ちますが、ようかん型ではなく少し抜いて軽さを出したいですね。ただしリズム、テンポは正確に。スネアがきざむリズムにちゃんと乗るようにします。3rdは低音と同じ音であることに注意。そちらもよく聴いて。[G]17小節目(148)からのクレシェンドは旋律グループを追い越さないように。

 [G]の21小節目(152)からのTutti、音の長さなどよく合わせて。そのあと最後から7小節前(156)からの3rd、低音群とともにアクセントをはっきり出したいですが、バリっと吹くのではなく響きに重さを持って堂々と。息のスピードは速すぎないように、スピードではなく息の圧がちゃんとかかるようなイメージで。最後から3小節前(160)の形も低音群とともに堂々と。ユニゾンですので音程もよく合わせて。

 それでは、いい演奏になりますように…。

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