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「薔薇戦争」より 戦場にて


 今年のこの課題曲5は、現代音楽に属する中でもちゃんとハーモニー感があり、そういう意味ではわかりやすいですね。ハーモニーといっても普通の三和音ではないところも多く、4度が積み重なった響きも多く使ってあります。ユニゾンや完全4度、完全5度は濁りがわかりやすく、そういう点でもアンサンブルに気をつけたいですね。それから、この曲に限らず当然のことですが、どこのパートと同じ動き(仲間)なのか、あるいはトロンボーンだけの動きなのかということを、あらかじめスコアを見て把握して吹くことが大切です。

 冒頭の3rdトロンボーン、低音グループにクリアさや色彩を与える役割だと思います。硬い音にならず、クリアで太く余裕のある音で。フォルテ1つですからあまりバリバリとは吹かないように。2小節目からのクレシェンドも低音の動きに同化します。3小節目の3拍目はトロンボーンセクションとユーフォでのハーモニーになりますので切り替えてくださいね。

 3小節目、2拍目の1st、2ndの動き、マルカートでクリアに堂々と。こういうマルカートのパッセージでも、いちどレガートにして練習してみることをオススメします。マルカートで吹いても息の支えはレガートの時と同じで。音1コ1コではなくフレーズを感じるためにも、レガートでの練習が役立つと思います。そして3拍目のハーモニーはテューバなど低音のFと共に4度(5度)の堆積になっています。こういうハーモニーが美しく合うように。2nd、3rdは小さすぎずしっかり鳴らして、ただし硬い音にならないように。

 4小節目の4拍目、3rdトロンボーンは再び低音グループの動きに合わせて。そして5小節目ですが、ここには前2回と違ってディミヌエンドがないです。2拍目のホルンやサックスの動きにつながる緊張感がほしい部分だと思います。楽譜に書いてあることをよく読んで、こういう吹き分けをちゃんとするようにしたいですね。

 [A]の2小節前4拍目は、トロンボーンセクションの中では3rdトロンボーンにのみクレシェンドがあります。これは低音グループのクレシェンドに合わせて。低音グループの仲間です。1stと2ndはトランペットやユーフォと合わせてマルカートぎみに。[A]1小節前のハーモニーも、トランペットやユーフォと合せます。ここで3rdトロンボーンも合流。

 [A]はトランペットやクラリネット群などと一緒にユニゾン(オクターブ)の動き。オクターブ上のトランペットなどに対して弱くならないようにしっかり支えます。16分音符の動きはやはりマルカート気味に吹きたいですが、同じマルカートでもこれまでのような3連符系の動きにはどこかゆったり感を。そしてこの部分のような16分音符系のときにはある種のしっかり感、堂々とした感じが欲しいと思います。が、3小節前のホルンやサックスと違ってここにはアクセントがないですので、硬くはならないようにしましょう。2拍目のsfの感じも、よく合わせて。そしてBの音は5ポジションも検討してみましょう。2小節目の下がったDesの音がクレシェンドの頂点。開いた音にならないようしっかり堂々と決めたいですが、呼吸のサポートがないと難しいです。オクターブをゆるめて下がるのではなく、オクターブ上とおんなじ所にいる感じ。もちろん音程にも気をつけて。

 [B]3小節目、Aisは5ポジションで。もちろんユニゾン音程気をつけて。ユーフォやサックスとも合わせてみましょう。2小節目4拍目からのFisが低くなったりしないよう、Disの3ポジションとの違いをしっかり耳と手でおぼえて。[C]3小節目の3rdはユーフォやバスクラと合流。4小節目の2ndはホルンやアルトサックスの動きの内声です。もちろん何度か出てくる2拍3連の動き、リズムは正確に。

 [D]2小節前からの1stはトランペットと合わせて。語るようにクリアに。ここもレガートにした練習もしてみましょう。

 [D]の5小節目からのハーモニー、1stのD、2ndのB、3rdのFはそれぞれ4、5、6ポジションも試してみましょう。ただし音程に気をつけて。ここはトロンボーンだけで普通の3和音ですから、きれいなコードを聞かせたいです。もしそれぞれ1ポジションで吹くのなら、音の移り変わりが美しくいくようによく練習してください。右手はリラックスして素早く。動き出しが早すぎないように、できるだけぎりぎりまで前のポジションに留まるイメージで。なにげにセクションの腕の見せ所です。[D]の6小節目までは3和音の半音スライドですが、7小節目は4度の堆積。

 [E]の5小節前5拍目3rdトロンボーンのFはできればF管ではなく6ポジションを使いたいところです。次の小節Eは7ポジション。

 [G]の3小節目からはトロンボーンだけの動き。トロンボーンセクションは4小節間どれも普通の3和音です。合わせてみましょう。そしてそれぞれが自分の音の動きをしっかりつかんで。[G]の6小節目あたまの1stのD、2ndのB、3rdのFはそれぞれ4、5、6ポジションも試してみましょう。

 [H]の4小節目、トロンボーンセクションはグリッサンドでC−durからA−durに下がります。下がったそれぞれ5、6、7ポジションは音程や音抜けが難しいですけどきちんと3和音になるように。そして、クレシェンドディミヌエンドはちゃんと聞かせたいところですが、クレシェンドの頂点がグリッサンドの行き先ではなくその半拍あとであることに注意。

 2ndトロンボーン、[H]の6小節目から7小節目のグリッサンドは倍音を変えずにつながるポジションがないのでGesの5ポジションに下からしゃくい上げる感じ。動きとしては3−6−5という感じ。手首を使ってうまくつなげて。あるいはお隣りのバストロンボーンがインラインダブルの楽器なら、つながる替えポジションがあるのでここだけ代わってもらうのも手かもしれませんが、それがいろんな意味でいいのかどうなのかはなんとも言えませんね。9小節目のAs→Dはもちろん7→1で。そしてこの3つのグリッサンド、それぞれ行き先の音にはホルンなどがいるので、それも少し意識してみましょう。自分の音型が合奏の中でどういう位置にあり、どういう意味があるのかを把握して。

 [J]から、堂々と。フォルテ3つですが硬い音にならないように。[K]から、ぱっと切り替えて。こういう最強奏直後のmpのコラールがきれいに決まるかどうかも、セクションの腕の見せどころポイント。


I   マーチ「ライヴリー アヴェニュー」/堀田庸元

II  天国の島/佐藤博昭

III  シャコンヌ S/新実徳英

IV  南風のマーチ/渡口公康


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