FUKUMI, Yoshiro's Homepage

天国の島

トロンボーンパート解説

 この曲は作曲者の解説にあるとおり、北海道北西部に位置する島、『天売島』(てうりとう)の印象を描いたもの。ちなみに作曲の佐藤博昭さんも北海道の方ですね。ぼくは天売島どころか北海道にも行ったことがないんですが、天売島は人口400人弱。周囲が12kmほどの小さな島で、たくさんの海鳥がやってくるんだそうです。行ったことはなくても、今やインターネットで何でも調べられる時代ですから、探して見てみると曲の雰囲気をつかむのに何か役立つかもしれませんね。さて、ではこまかく見ていきましょう。

 [A]から、カップミュートです。カップの位置が調整できるものであれば、ベルとカップの隙間が1cmぐらいになるように調整しましょう。ストレートミュートより吹いたときの抵抗が多いと思いますから、あるいは慣れが必要かもしれませんね。ピッチにも注意が必要です。[A]の強弱指示はmpですが、ミュートによってはmfぐらいのつもりで吹いてちょうどいいかもしれません。抵抗が多いと発音が鈍くなったりするかもしれませんが、ここはトロンボーンとトランペットでベルトーンのようになっている箇所。発音は大事です。よくそろえましょう。大切に、セクションとして意思を持った発音で。なんとなく吹いてしまわないで。もちろんディミヌエンドのニュアンスも、よくそろえて。ハーモニーも、4度音程などよく合わせてください。3rdトロンボーン、5ポジションのDesはミュートを付けてますます音程が難しくなると思います。よく聞いて。

 [B]5小節目のシンコペーション、少しアクセント気味に、低音楽器やホルンなどとも音の形をよくそろえて。

 [C]からテンポが上がります。4小節でミュートを外さなければなりませんが、落ちついて。ミュートの付け外しは右手でやるものと決まっているわけではありません。ぼくはじつは左手派です。慣れれば左のほうが早いんじゃないかと思ったりします。オーケストラなどクラシック系のトロンボーン吹きは右手派が多く、ジャズ系トロンボーン吹きは左手派が多い傾向がある気がします。ぜひ両方試してみましょう。でも4小節もあるのですから落ちついて外せば大丈夫ですね。

 さて、このテンポだと16分音符をシングルタンギングで吹くかダブルタンギングで吹くか微妙なところかもしれません。もしダブルで吹くのなら、逆に転ばないように注意が必要です。自分では転んでいるつもりはなくても、録音を聴いてみると転んでいたっていうこともあります。この曲に限らずですが、録音して聴いてみることは有効ですよ。ていねいに、正確に。そしてどちらのタンギングを使うにしろ、16分音符が短くなりすぎないように気をつけましょう。ちゃんと音程が聞こえなければなりません。アタックの音だけにならないこと。タンギングは軽く。舌の突いている時間を短く。シングルなら、完全に『TuTuTu』よりも少し『DuDuDu』に近い感じ、ダブルなら『TuKuTu』よりも少し『DuGuDu』に近い感じでいくと、舌が瞬間的にできて音符の長さが保てると思います。

 [D]からのきざみは、当然1つ1つがハーモニーになっていますから、1小節を2分音符2つというふうに長い音にしてハーモニーの響きを確かめてみましょう。楽譜どおりのリズムで吹いたときも、ちゃんとハーモニーが聞こえるように。そしてここはぜひトロンボーンだけではなくユーフォやスネアドラムなど、同じリズムをやっている仲間と一緒に練習しましょう。もちろんメトロノームを使って。[E]の1小節前や[F]の2小節前など決めのリズムやテンポが乱れないよう、特に注意。きっちり吹きたいところです。[F]の2小節前は特に右手をリラックスさせて、手首を硬くしないで吹かないと難しいですよ。

 [F]の5小節目から、決めのリズムですね。こういうところもやはりハーモニーになっていますから、mpかmfくらいのラクな大きさとゆっくりのテンポでハーモニーを確認してみることが大事ですね。とにかく、ユニゾンのところはユニゾンの意識、ハーモニーのところはハーモニーの意識。ユニゾンは1本に聞こえる、ハーモニーはちゃんとハモる。これが大事です。[F]の6小節目3rdトロンボーン、Cの音はF管ではなく6ポジションも検討してください。

 [G]の5小節目からは、ユーフォやテューバなどとも一緒に合わせてみましょう。普通の長三和音や短三和音になってないところもあります。1つ1つ取り出して響きを確認しましょう。[G]5小節目は1拍目も3拍目も1stと3rdの4度音程に注意。ユーフォテューバとのユニゾン、オクターブとともによく合わせて。6小節目3拍目はユーフォテューバと3rdトロンボーンの5度音程(和音はA♭7)などが合せどころ。そして、1つ1つの響き単独だけでなく、楽譜通りにゆっくり合わせて響きの流れを確認することも大切です。

 [I]の1拍前からトランペットとユニゾン(オクターブ)でマルカートの旋律。楽譜にあるとおりマルカートで1つ1つはっきりと。でもスタッカートではありませんから、16分音符にも、ある程度の長さがあったほうがいいと思います。その方がしっかり堂々と聞こえますね。そして、アタックだけの音にならないこと。音程がちゃんと聞こえること。マルカートでも、アタックではっきり聞かせるのではなく、響きではっきり吹く感じ。ぶつけないように、タンギングはあくまで軽く。そしてCとEsの3ポジションは、まったく同じではないと思います。よく音程を聞いて微調節してください。もちろんトランペットと一緒に合わせてくださいね。3小節目のritは、テンポの流れをちゃんとつかんでください。歌って合わせてみることも有効です。

 [I]の4小節目からはテンポが上がって、[D]と同様です。ここも[D]同様、強弱がありませんが、基本的にはフォルテでいいと思います。全体とのバランスに注意してください。

 [J]の2小節目からはユーフォや低音群などとも一緒に合わせましょう。5度音程をよく合わせてください。2ndのF、3rdのCは6ポジションの使用も検討してみてください。クレシェンドの感じもよく合せましょう。2小節でpからfへのクレシェンドですが、音の1つ1つがふくらむようなクレシェンドにはならないように。ただし息の支えは2小節間支えたままで。

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