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吹奏楽のための民謡「うちなーのてぃだ」

トロンボーンパート解説

 沖縄旋法を生かして書かれた、明るく軽快な曲ですね。この曲、もともとはトロンボーンアンサンブルのために作曲されたのだそうです。4分の3+2という拍子で書かれていますが、つまりは5/4拍子。5拍子とか7拍子とかの、2でも3でも割り切れない拍子でも、多くの場合はいくつかの拍子が合わさった構造になっています。5拍子の場合なら2+3とか3+2とか。この曲の場合は3+2の5拍子ということです。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れるとノリの良さが出せると思います。

 さらに、旋律や音形がまるで楽器紹介のように受け渡されていく部分があります。流れが自然になるためには、吹く前から流れに乗っている、流れの中にいる感覚が大切です。そのためには力まないことと、フレーズ感が大事。「1つ1つの音」にばかりとらわれていると、流れやノリはできません。

 まず冒頭。テンポがゆっくりの序奏の部分。ベルトーンはユーフォと一緒に練習しましょう。mpですし、少しやわらかめのアクセントがいいかもしれませんね。でも、いろいろな表現があっていいと思います。ただし、4パートのアーティキュレーション(音の形)がそろうように。でこぼこにならないようにきれいなベルトーンにしたいですね。ハーモニーも美しく。1stは高くりがちだと思いますので気をつけて。

 [A]、Tuttiです。クリアに。こういう部分、アクセントを意識するあまり、つぶれた音にならないように気をつけましょう。さらに、2小節目終わりから3小節目あたま、また、3小節目終わりから4小節目あたまのように、裏拍が続くところでは、2つめの音がつっこみすぎないように、テンポに乗って。

 [B]冒頭のハーモニーはユーフォとも一緒に合わせましょう。澄んだ、でもハリのあるハーモニーにしたいですね。上のFは高くなりがちなので、ユーフォとのオクターブよく合わせて。逆にCは低くなりがちなので、Fときれいな5度になるように(3~4小節目も)。そして、ディミヌエンドやクレッシェンドも、よく合わせて。

 [C]、旋律です。この曲ではこの拍子を、6/8+2/4と捉えるバンドもあるかもしれません。3/4+2/4と感じるのと、6/8+2/4と感じるのとでは、旋律のニュアンスが少し変わってきますよね。もちろんいろいろな表現があっていいと思いますが、2つ目の音(4分音符)、3つ目の音(8分音符)の「裏拍感」。シンコペーションのニュアンスを生かすと、躍動感が出ると思います。

 そして、この箇所に限らずこの後何度か出てくるこういう旋律や裏旋律のパターンは、もちろん少しマルカート気味にハッキリですが(スラーの部分はもちろんスラー)、テヌートやレガートでも練習してみましょう。そして、息の支えや息の流れはそのテヌートやレガートで吹いた感じのままに、マルカートで吹く。

 [D]の2小節前から、変形あとうちですね。もちろんテューバなどのあたまグループなどとも一緒に練習しましょう。ブレスは8分休符のたびにするのではなく、たとえば2小節とか4小節とかの単位を一息でいくように。さらに、8分休符に「ンッ」って止めが入ったり重さをかけたりしないで。「ンタタンタタンタンタ」ではなく、「フタタフタタフタフタ」という感じ。分かりにくいですね^^;。

 そして、こういう伴奏形部分でもマーチのあとうちなどと同様に、長い音にしてハーモニーを合わせてみましょう。楽譜どおり8分音符で吹いても、それがちゃんとハーモニーになるように。はっきりとは吹くのですが、アタックの音ではなく響きではっきり。さらに、強弱をちゃんとつけますが、でもメロディを追い越さないように。3人のバランスを保って。

 [E]から3rdトロンボーン、聴かせどころですね。マルカートではっきり。でも、練習ではやはりテヌートやレガートにして吹いてみて、息の支えや流れの感じをつかむといいと思います。低音は息のスピードが速いとうまく響きませんし、うまく鳴りません。クリアには吹くのだけれど、でも息は、ゆっくり、たっぷり。

 下のFは6ポジションがいいと思います。どうしてもF管の1ポジションを使いたいのなら、低くならないように気をつけて。口や息でピッチを上げると、詰まった音になってしまうと思います。F管のチューニングはCで合わせるのと下のFで合わせるのとでは抜き方がずいぶん変わりますね。下のFで合わせると、ほとんど抜かないと思います。F管を下のFで合わせたら、Cの音は1ポジションをスライドで抜いて調節しないと高くなるので気をつけて。

 [I]の4小節前最後のF、3rdトロンボーンは6ポジションも検討してみてください。それとも、インラインダブルの楽器なら、3小節前のDesを、2つ目のロータリーを単独で使って、G管なら2ポジション、Ges管なら1ポジションで吹けます。あるいは、これを普通に5ポジションで吹くのなら、3小節前最後のBを、F管の3ポジション(遠めでほとんど4に近い)で吹く手もあります。どういう手順で吹くかはご自由に。いろいろ検討してみてください。

 [I]からのハーモニー、ここも聞かせどころですね。たっぷりとした、澄んだ、でも明るくハリのあるハーモニーになるといいと思います。1st、上のF、Esは高くなりがちなので気をつけて。Fは2ndのCとの4度、Esは3rdのAsとの5度、[J]の3小節前からは2ndのBとの4度、よく合わせてください。それから、こういうところ、音が短くなりがちだと思います。4拍吹いて1拍休み、にならないように、ちゃんと5拍目までのばしましょう。そして4小節ごとの強弱変化もちゃんとつけて。

 [J]、グリッサンドはもちろんどのパートも6ポジションから始まりますが(1つ目も2つ目も)、それがちゃんととれるように。音程注意。まず始まりの音だけを合わせてみましょう。そして、途中の音も全部鳴る感じ。行き先の音は少しアクセント気味にするといいと思います。輝かしいハリのある音で。3パートともよく鳴っていること、そのバランスが大事。2小節目の2分音符は中途半端にならないように、しっかり張った音で正確に2拍。

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