ネストリアン・モニュメント
トロンボーンパート解説
この曲のトロンボーンパートは、技術的にけっこう難しいところがあります。トロンボーン的には課題曲5曲中いちばん難しいかもしれません。よく練習しましょう。調性から、5ポジションがけっこう出てきます。苦手意識は演奏に出ますので、右手をリラックスして5ポジションのマスターを。それからアクセントやスタッカートなども、曲のテーマを考えて、マーチとはまた違った表現が要求されると思います。具体的には、ある種の重厚さ、響きの深さといったものが必要だと思います。曲の雰囲気をよく感じて、演奏に生かしましょう。
冒頭、テンポをつかんでないと16分音符が合いません。さらに、ブレス。呼吸を合わせる。fpの形も、トランペットと合わせて同じ表現になるようにしたいですね。合奏では、どこのパートと同じなのかを把握しておくことは大事ですよ。2nd、5小節目のF音は6ポジションを検討してください。ただし音程に気をつけて。1stのB→Cもそうですが、ポジション移動で右手に力が入ってしまうと表現に影響します。リラックスして正確に。
7小節目はsenza sold.(センツァ・ソルディノ、openのこと)ですので、2小節弱でミュートを外さなければなりません。ちょっと忙しいですね。普段ミュートの付け外しを右手でやっている人は、ぜひ左手でもできるように練習してください。慣れれば左の方が早いですよ。8小節目([A]1小節前)の2nd、3拍目のFは6ポジションも検討してください。
[C]5小節目から1st2ndのユニゾンメロディ、テヌート4分音符の処理など、その2小節前のホルンと同じ表現になるように。ただし強弱は上がっていますので、[D]に向かって盛り上がっていく流れを感じて。F音はそれぞれ、4ポジション(少し近め)も検討してください。ただし、音程注意。ユニゾンは音程の乱れがわかりやすいですから、そのことも含めて検討してください。もちろん、F音を1ポジションで吹くのなら、高くなりがちなので音程注意です。さらに、3ポジションのEs音も高くなりがち。[C]6小節目2拍目のEs→Asは、楽器にもよりますが、正確に音程を取るとまったく同じ3ポジションではないと思います。スライド修正を。それからその小節、4拍目あたまのD音は4ポジション(少し遠め)がお薦めです。3つ目の16分音符B音は、5ポジション(少し近め)も試してみるといいかもしれません。
そのあと、[D]2小節前からですが、この曲のテンポなら16分音符はシングルタンギングでいけると思います。でも、舌に力が入らないよう気をつけて。16分音符には息をちょっとだけ多めに流す感じで。[D]からはそれぞれ同じ動きのパートを把握して、音の処理やスピード感などがそれらのパートと同じになるように。16分音符、冒頭と同じく乗り遅れに注意。軽くなく、でもはっきりと。
[E]1小節前4拍目の16分音符の動き、A音とGes音の増2度音程に気をつけてきちんと取りましょう。1st、16分音符のA音C音とも6ポジションも使えます。でも、使うかどうかはお好みで。3rd、もしインラインダブルロータリーの楽器なら、2つめのロータリーを単独で使うと簡単なポジションが見つかります。2つめ単独で押して、G管なら、Ges音は2ポジション、C音は3ポジションに。Ges管なら、Ges音は1ポジション、C音は2ポジションにあります。もちろんC音はF管1ポジションでもいいのですが、左手の動きが面倒かもしれませんね。
[F]1小節前4拍目、澄んだハーモニーにしたいですね。4分音符ですが、テンポがゆっくりですから大切に音価を保って。まず3rdのDes音は5ポジション音程注意です。オクターブ上のホルンなどとよく合わせて。2ndとの5度がきれいに決まるように。そして第3音の1st、ハーモニー的には低めの方が気持ちいいのですが、上のFは高くなりがち。要注意です。これが上ずったりしたらとっても気持ち悪いです。ただし、ここは旋律もF音(フルート、クラ)。なので、ハーモニーの第3音なのですが、旋律との兼ね合いにも少し注意が必要ですね。
[F]以降に出てくる32分音符を中心としたきざみのリズム、これはぜひホルンと(アルトサックスやトランペットとも)一緒に練習しましょう。メトロノームを使って。テンポは、当然4分音符単位ではなく8分音符単位(♪=116)でカウントしましょうね。コツは、休符のところもテンポの『流れの中にいる』こと。それぞれの入りを「せーの」で入るのではなく、音の直前の休符にも音のない音符があって、それも吹いている、そこですでに、息の支えもできている感じ。その流れで吹くようにすると、流れやつながりがうまくいくと思います。もちろん、舌のリラックスが大事です。
そして忘れてはならないのが、きざんでいるんだけれども1つ1つはハーモニーになっているということ。長い音にしてハーモニーも合わせましょう。その澄んだハーモニーのまま、きざむ。さらに、こまかくきざんでいるんだけれども、どこか『ゆったり感』が醸し出せるといいです。身体が固くなるとできないですよ。
[H]1小節前のTempo I、テンポをきちんとつかんで遅れないように。
[I]3小節目からの1st2ndユニゾン、ポイントは[C]5小節目と同じですが、今度は強弱がフォルテです。でも、あまり硬い音にならないようにしたいですね。[I]7小節目(Maestosoの2小節前)の動きが少し厄介ですね。Fは6ポジションも検討してください。
[I]4小節目からの3rdは、さらに厄介。「ユーフォさんよろしく」と言いたいところですね。[I]5小節目の最後のC音はF管ではなく6ポジションがいいかもしれません。そのうえで次の小節1拍目のB音は、F管の3ポジション(かなり遠くてほとんど4に近い)に。その小節4拍目の上のB音は5ポジション(近め)も検討してください。その次の小節(Maestosoの2小節前)2拍目の3→5→3は、手首をうまく使って。ここは、Ges音をF管4ポジション(かなり遠め)またはG管2ポジション(Ges管なら1ポジション)などバルブを使うことでタンギングを省く手を使うのがいいと思います。そのほかにも、いろいろ工夫の余地がありますね。
[J]3小節目(Maestoso)、1st2ndは金管とサックスのソリです。堂々と。のびのびとした輝かしい音で響かせたいですね。硬い音にならないように。Maestoso3小節目の5連符は、2連+3連や3連+2連にならないように、きちんとテンポの中で5等分できるようによく合わせましょう。
そのあとa tempoからの1st2ndのグリッサンド、しっかりアクセントをつけて、さらに、アクセントに向かってクレシェンドの(アクセントに向けて息を吹き込む)感じで。Tuttiの中でもちゃんと鳴り渡るように輝かしい音で。