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コミカル★パレード

トロンボーンパート解説

 今年の課題曲も、マーチが2曲。その中の1曲。とっても楽しいマーチです。タイトルの「★」がいいですね。トリオの旋律がきれいです。

 さて、マーチの演奏で大事なのが、インテンポ。テンポが揺れたらマーチになりません。マーチは「歩くための音楽」ですから、揺れたら歩けません。マーチにもマーチングマーチとコンサートマーチ(「歩くマーチ」と「聴くマーチ」)がありますが、どちらにしても、インテンポの部分は揺らさない。これが大前提。マーチに限らず、音楽って、「揺らして表現する」ものと、「インテンポの中で表現するもの」とがあります。

 それからもうひとつ、マーチでは、マルカートの吹き方が大切になってきます。2003年の課題曲解説「音の処理について」を読んでみてください。さらにこの曲では「レガート」もたくさん出てきます。レガートの吹き方もマスターしておく必要があります。そして、この曲の3rdは、バストロで吹くとしても、あまりテナーと違う響きにならないほうがいいと思います。でもだからといって楽器を持ち替える必要はありませんよ。では、具体的に見ていきましょう。

  冒頭ですが、スタッカートアクセントが付いたシンコペーションの4分音符をどんな長さで演奏するかはいろいろあると思います。全体をよく聞きましょう。2nd、2小節目1拍目裏の5ポジション、ちゃんと5に行くように気をつけて。でも、右手に力が入らないように。1stとゆっくり合わせて響きを聞きましょう。2小節目4拍目からのC→F、よく響く音で。たった2つの音ですが、トロンボーンとユーフォのソリ(低音やティンパニーもありますが)ですよ。

 [A]2小節目から、レガートで。スラーの中の音は普通のタンギングではなく「レガートタンギング」を使うのは知っていると思いますが、それをマスターすること。そして一番大事なことは、息の流れが1つのレガート(スラー)の中で途切れたり段ができたりしないで、1本の流れになることです。さらにこの箇所、ユニゾンで始まりだんだん音が別れていくことに注意。響きが広がっていく感じ。クレッシェンドもそれに乗せて。

 [A]6小節目3~4拍目は、1~2拍目にある旋律とおんなじニュアンスで吹きたいところ。8小節目([B]1小節前)、3rdのC音はF管を使わずに6ポジションがいいかもしれません。インラインダブルロータリーの楽器なら2つ目のロータリーを単独で使って、C音とDes音を、G管なら3と2、Ges管なら2と1で行けますので、使えるものはどんどん使っちゃいましょう。

 この箇所([B]1小節前)の4拍目、スラーの真ん中の8分音符にアクセントがついてます。さて、なんぞや!? アクセントってどういう意味? アクセントは「目立たせる」ですね。この音を少しだけ大きくするのもひとつの方法。いろいろ考えてみましょう。

 [B]です。レガート!! espr.(エスプレッシーボ)の意味は? 調べましょうね。さて、替えポジションの提案です。[B]2小節目3拍目、4小節目3拍目、5小節目4拍目裏(1st、2nd)のそれぞれD音は4ポジションがおすすめです。ただし音程注意。6小節目4拍目の1st、2ndは3→4→5ポジションって方法もあります。音程注意。あるいは5小節目と6小節目の16分音符C音はF管で1ポジションとか(これはちょっとインチキだけど…)。

 [C]です。レガート!! 5ポジションの音程注意です!! ホルンや低音と、ゆっくりからよく合わせましょう。あたまのB音はF管で遠めの3ポジション(ほとんど4に近い)を使う手もあります。2小節目最後のC音は当然F管ではなく6ポジションがいいと思います。ポジション移動が大きいレガートです。よく練習しましょう。デコボコ&ゴツゴツにならないように!! コツは、右手リラックス&息は一本で&レガートタンギングです。

 [C]5小節目から、マーチお決まりの「あとうち」です。8分休符のたびにブレスをするのは禁止!! 2小節ごととか、ブレスの位置を決めましょう。そして、ブレスとブレスの間は、息の支え(おなかの軽い緊張感)は保ったまま。8分休符でもいちいち支えを抜かないのがコツ!! フレーズのつながりを感じて。さらに、2分音符の形にしてハーモニーを合わせてみましょう。ホルンも一緒に。そしてこの曲のあとうちは、もたれた裏拍ではなく、テンポの中で音符が少し前のめりぐらいの意識のほうがいいと思います。

 [D]8小節目、これはトロンボーンだけではなくバンド全体ですが、3つの8分音符で走らないで!! そしてその次の小節([E]2小節前)、音域が低いですから濁らないように気をつけて。ハーモニー(音程)に注意するだけでなく、音色も澄んだ音で。シンコペーションのニュアンスなど、ホルン、ユーフォなどとよく合わせましょう。なにしろこの部分は、トリオの美しい旋律を導き出すきっかけですからね。

 [F]から1stと2nd、大きさや音の形など、その前のホルンを受けて。流れに乗って。この部分に限らないことですが、吹き始める前から『流れの中にいる』ことが大切。1小節前からもう心の中では歌っている感じ。そして、シンコペーションのキャラクターで。4分音符よりも8分音符のほうが軽くなるイメージでいくといいと思います。もちろん、あとうちと同じく、息の支えは保ったまま。ムリをする必要はないですが、4小節一息でいけると思います。

 [G]、クリアに、重くならないように行きたいですね。4分音符の長さや形にも気をつけたいです。1st、2小節目のDは4ポジション、3rd、3小節目3拍目のFは6ポジションを、それぞれお薦めします。ただし音程注意。上のDの4ポジションは少し遠く。

 [H]から4小節間、気をつけることは[F]と同じです。強弱がフォルテになりますが、でも重くならないように気をつけましょう。もちろん、2分音符にしてハーモニーを合わせてみましょう。1st、上のEs、Fは高くなりがちです。響きが細くなるとますます高くなってしまいます。気をつけて、なおかつスライドでちゃんと微調節しましょう。2ndとの4度音程がきれいに合うように。

 [H]6小節目から、レガート!! 2ndは、1小節半はオブリガート(ユーフォ、アルトクラ、テナーサックス)のオクターブ下です。音程注意。ただ、意識としてはハーモニーの内声でいいと思います。なので、張った音ではなくハーモニーの音で。

 8小節目([I]1小節前)3拍目、ここからはクリアに。ここの3拍目のあたまに音があるのは打楽器のほかはテューバ、弦バスとトロンボーンだけ。プチ目立ちポイントです。テンポでクリアに、でもクレシェンドの頭なので大きすぎないように。

 [I]のアクセント8分音符はマルカートの形で。支えは音と音の間も保ったままで。

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