ブライアンの休日
トロンボーンパート解説
今年の課題曲はマーチが2曲ですが、その中の1曲。オーソドックスで、はつらつとした感じのマーチです。作曲者の内藤淳一氏は、1999年の『マーチ・グリーンフォレスト』や、2001年の『式典のための行進曲「栄光をたたえて」』など、課題曲もいくつか書かれています。
マーチの解説にはいつも書きますが、マルカートの吹き方が重要になってきます。さらに、軽やかなあとうち、澄んだハーモニーなどが要求されます。では、曲の解説に入ります。
まず冒頭。この曲のテンポだと、16分音符はダブルタンギングが必要になってくると思います。中にはシングルがとても速くできる人もいるでしょうけど…。ダブルタンギングのコツは、舌のリラックス(ダブルに限りませんが)。『TuKu…』というよりは、もしかしたら『RuGu…』か『DuGu…』のほうが近いかもしれませんね。『TuKu…』でも、舌の当たりが強い(舌に力が入る)と、音がきちんと鳴らなかったり硬い音になったりしてしまいます。それから、8分音符も、舌のリラックスとともに、『止まった音』にならないようにしましょうね。音の処理は、『ストップ』ではなく『リリース』(文字ではこんなふうにしか書けませんね…)。
あたまの小節、それから5小節目([C]の4小節前も)の8分音符、1stは5ポジション(ちょっとだけ近め)、2ndは6ポジションを使うことも考えてみましょう。ただし、音程には気をつけて。
[A]4小節前(9)からのEsDur主和音は、トロンボーン、ユーフォとともに、サックス、ホルンも吹いていますね。こういう、ほかの楽器とも一緒にハーモニーを作る箇所では、もちろんトロンボーンだけででも澄んだハーモニーを作れるように練習しますが、合奏の中で自分と同じ音を誰が吹いているのかを意識してみましょう。
[A]の5小節目からのハーモニーは、部分的にアルトサックスが重ねてあります。ハーモニーは、歌(声)で合わせてみるのも効果的な練習だと思います。
[A]13小節目(25)、3rdトロンボーンのFは、6ポジションも試してみましょう。15小節目(27)の1stのDは、4ポジションも試してみてください。その小節(27)、2ndの動きは木管のメロディと同じ『キャラクター』で。同じ小節の3rdの動きはベース楽器と同じ『キャラクター』。漫然と吹いてはいけませんよ。[B]12小節前(33)、2ndのBは、5ポジション(ちょっとだけ近め)も試してみましょう。
[B]の8小節前からは、マーチではお決まりの『あとうち』ですが、ここではトロンボーンだけではなくホルンと一緒にあとうちです。珍しいですね。まず、各小節を2分音符にして合わせましょう。ハーモニーの確認です。あとうちも、ハーモニー。瞬間的な音でもハーモニーが聞こえなければなりませんよ。
あとうちのコツについては、過去のマーチ課題曲の解説でずいぶん書きましたので、それも読んでくださいね。あとうちに限りませんが、楽器や身体を動かしてテンポをとらないこと。8分休符で毎回ブレスするのはダメです。たとえば4小節ごととか、ブレスを決めましょう。息の支えは、2分音符にして合わせたときと同じ。8分休符でも支えは抜きません。そして、こういうマーチのあとうちは、拍の裏より遅れないこと。ほんのちょっと早め(速めではない)くらいの意識で。音は、『止めないスタッカート』で。
[B]です。もちろん他パートにも合わせますが、音の形はマーチでお決まりのマルカート。そして、パートの中でユニゾンの部分とハーモニーになっている部分をそれぞれがちゃんと把握しましょう。付点のリズムの吹き方は、この曲のひとつのポイントですね。正確なリズム、付点8分音符の長さや形。タンギングで舌に力が入ると、きれいな付点のリズムは吹けません。『舌で息を切る』ではなく、『息の流れが舌を動かす』感じ。
[C]はユニゾンのオブリガートとハーモニー。オブリガートは書いてあるとおりマルカートで。これは4分音符の形がポイントですね。はつらつとしたイメージで。そしてハーモニー。わざわざdolceとあるとおり、やわらかく。そのコントラストをはっきりつけましょう。書いてはありませんが、ハーモニーの部分は当然オブリガートより小さく吹きましょう。
[C]の5小節目(65)、13小節目(73)の1stと3rdのオクターブは特に音程注意です。くれぐれも硬い音にならないように、歌うように。実際歌って合わせてみましょうね。そして、ハーモニーの動きの中に旋律やベースと同じ動きがあります。音程(ユニゾン)や音型に気をつけて。
[D]の8小節前(85)からは旋律と合流です。まず替えポジションですが、1st、各D音は4ポジション。2nd、[D]の8小節前最後のFは6ポジション、[D]の6小節前のBは5ポジションを、それぞれ検討してみてください。ここは2ndや3rdの方が難しいと思います。実は2ndと3rdの音をうまく入れ替えるととっても簡単になるのですが、それは反則ですね^^;。トロンボーンはスライドの動きでバレてしまいますし…。しかたがないので、考えなくても手が勝手に動くようになるまで練習しましょうね。右手に力が入っていたり、スライドを握ってしまったりしていると、うまくいきませんよ。
そして、この部分のポイントもやはり付点の吹き方。タンギングで舌に力が入っているとうまくいきません。まず、同音で付点リズムの発音を練習しましょう。軽やかではつらつとした付点になるように。
Trioです。[E]21小節目(121)からの伴奏、もちろんハーモニーを美しく。暑苦しい伴奏にならないようにさりげなくいきたいところです。クレシェンドは当然メロディに寄り添って押し付けがましくなく。123小節の1stの動きはここだけですから少し聞かせたいですね。
[F](133)から、そして[H](181)からのユーフォとのオブリガートですが、マルカートで軽やかに。ユニゾンなので、特に長い音では音程に注意が必要です。EsやFが高くならないように。ただ、EsやFはユーフォも高くなるかもしれません。たいてい高くなるでしょうね。そしたら、ある程度トロンボーンが合わせてあげるのがいいと思います。なにしろこっちはスライドでいくらでも調整できるんですからね。
軽やかではつらつとした付点やマルカート、透明感のあるハーモニー、それらのためにはもちろん音程の正確さなども必要ですが、ポイントは、地声吹きにならないことです。