マーチ「ブルースカイ」
トロンボーンパート解説
この曲もまたオーソドックスなマーチ。流れるような美しいメロディやハーモニーを持っています。あとうちやハーモニー、マルカートのメロディやオブリガートなど、他の曲と気をつけることは共通しますが、この曲では特にフレーズに気を配る必要があると思います。もちろんどの曲でも旋律やオブリガートなどでフレーズに気を配ることは大切ですね。ひとつひとつの音には気をつけるけれどフレーズは見ないのでは、『木を見て森を見ず』どころか、『枝葉を見て木を見ず』です。少し難しいですね。曲の中で具体的に書いていきます。
まずイントロ。マルカートで合奏全体が気持ちを合わせて。みんなで同じ音型を演奏するとき、音の長さや大きさ、音程を合わせることも大切ですが、それだけでは合奏の響きは溶けないしサウンドもできません。響きを合わせる、気持ちを合わせる、みんなで同じ歌になる。1,2小節は1stが、3,4小節は2ndが、3rdや低音楽器とオクターブになっています。つまり、ベースラインのオクターブ上になる。もちろんオクターブを合わせて、さらにベースの響きに溶け込む意識。そして4小節目2拍目の2つの8分音符は、旋律声部がスラーですから、1つめの8分音符はテヌートがいいと思います。もちろん全体を聞いて。
[A]2小節前(8)1stのD、4ポジションがおすすめです。ただし少しだけ遠いですよ。それから[A]1小節前(9)1st、支えは音符1個ずつではなく、1小節間支えたままで。8分休符でも支えは抜きません。休符のところにも吹かない音符があるつもりで。
[A]3小節目(12)からトロンボーンだけでハーモニー。オブリガートパート(ユーフォなど)とも一緒に合わせてみましょう。フレーズごとに気持ちクレシェンドディミヌエンドがあってもいいですね。作為的になるのではなく、メロディと一緒に歌う感じ。1stと2nd、各D音は4ポジションも検討してください。特に1st、4分音符のDは当然4ポジションで。ただし普通の4ポジションよりはわずかに遠くなります。さらにここは、メロディはmf、オブリガートはmp、ハーモニーなどの伴奏はpですね。
[C](26)のアウフタクトからは低音群でメロディです。リズムを正確にするため8分音符単位のビートで練習してみてください。3小節目(28)最後のDは4ポジションがおすすめ。そして書いてあるとおりマルカートでクリアに。特にアウフタクトはほかがお休みです。その前の3拍目の打楽器に8分音符のアクセントがありますね([C]の2小節目3拍目は高音木管やトランペットにも)。それを受ける気持ちで。そういう意味でのアクセントだと思います。
さらに、フレーズが大切。どこからどこまでが1フレーズでしょう? 答えは1つではないかもしれませんが、[C](26)のアウフタクトから2小節目(27)3拍目まで、それから3小節目(28)のアウフタクトから4小節目(29)3拍目までが、1つのフレーズになると思います。その中で音がばらばらになってしまうとメロディに聞こえませんね。ひとつの練習方法として、1フレーズずつレガートにしてみましょう。そのときの支えと息の感じのままで、楽譜のとおりマルカートにします。音符を支えるのではなく、フレーズを支える。これがひとつのポイントです。
[C]5小節目(30)からはあとうちですね。まず各小節を2分音符2つにしてハーモニーを合わせてみましょう。あとうちも、ハーモニー。もちろん、8分休符ごとに毎回ブレスしたりしないこと。そして、やっぱり支えは音符ごとではなく、ブレスからブレスまでの間を支える。8分休符も支えたまま。フレーズを感じて。さらに、音が各拍の真裏よりもうしろにならないように。同じテンポの中で真裏よりもほんのちょっと前にする意識を持つと、軽やかなあとうちになります。そしてスタッカートでクリアに。
[D]2小節前(36)はマルカートで。3rd、音の動きが少し難しいですね。BはF管を押さえた3ポジション(遠めで普通の4ポジションに近い)にしてCは6ポジションに行く手もあります。あるいはインラインダブルの楽器なら2つめのロータリーを単独で使って、DesはG管なら2ポジション、Ges管なら1ポジションが使えます。そして、[D]1小節前(37)2拍目の2分音符と4拍目の4分音符(ホルンも一緒です)は、マルカートの音楽からレガートのやわらかい音楽への橋渡しです。曲の表情の変化を感じて、きれいにつないでください。
[D](38)からは[B]と同じハーモニーですね。気をつけることは[A]のハーモニーのところと同じです。ただしここは、メロディはmfのままですが、オブリガートと伴奏は強弱が一段上がっています。[D]5,6小節目(42,43)は、3拍目の重心に向かっていく意識を持つといいと思います(バスドラムやシンバルには3拍目に向かってクレッシェンドがあります)。ただしもちろんテンポは一定。そして、Trioへ向かうアクセント8分音符、走らないようにインテンポで。マーチの基本はインテンポです。
TrioのEs dur、きれいにハーモニーさせましょう。1stと2ndの4度、よく合わせてください。響きとハーモニーを保ったまま溶けていくディミヌエンド。[E]9小節目(56)からのあとうちも、気をつけることは[C]5小節目からと同じです。当然のことですが、メロディを感じてくださいね。自分たちが吹いている伴奏の上にどんなメロディが乗っているのかわかっていなかったら、いい伴奏はできませんよね。
[F](64)アウフタクトから低音楽器群でメロディです。書いてあるとおりマルカートで力強く。このメロディも、音が動く部分では特に、16分音符から次の音への動きだけを取り出して練習してみましょう。1stと2nd、[G]2小節前(70)の3拍目Dは4ポジションがおすすめ。それから、[G]の前でもしritをするのなら、4分音符の音価(音の長さ)はテンポが遅くなった分は長くなることを忘れないでください。
[G](72)から今度はトランペットとユニゾンのメロディです。マルカートでクリアに。このメロディはどこからどこまでが1つのフレーズでしょう? [G]3小節目(74)の8分休符はフレーズの切れ目ではありませんよね。休符があってもフレーズは切れない。8分休符も支えたままで。[G]3小節目(74)と7小節目(78)のDは4ポジションで。そして[H]1小節前(79)は、意識としてはクレッシェンド。
[H](80)からはトロンボーンだけでユニゾンのオブリガート。マルカートでクリアに。Dの4ポジション(少しだけ遠め)、Bの5ポジション(少しだけ近め)の利用をうまく考えてみてください。特に[H]4小節目(83)のDは4ポジションで。