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コンサートマーチ「光と風の通り道」

トロンボーンパート解説

 『光と風の通り道』というちょっとおしゃれなタイトルのこの曲は、浜松の航空自衛隊中部航空音楽隊のトランペット奏者、栗栖健一さんの曲です。当初は航空音楽隊のレパートリーに、と書かれたのだそうです。ほんとうに自衛隊の音楽隊が演奏したら似合いそうな、明るくはつらつとした曲だと思います。すっきりとしたオーソドックスなマーチです。この曲でトロンボーンに要求されることは、ナチュラルでクリアな発音と、軽やかなマルカートです。きついタンギングならないように。

 冒頭から[A]までのイントロですが、もちろんマルカート。ハーモニーにも気をつけます。特に1小節目、1stのEsと2ndのB、合わせてみてください。各2分音符や3小節目の4分音符、張らないように発音のあとはすぐに抜いて軽く。2小節目1stのDは当然4ポジションで。ただし、Hの4ポジションとDの4ポジションは同じではないので修正してください。3小節目のDも、4ポジションの使用も検討してください。そして、1小節目と2小節目4拍目の3連符は、次の1拍目に向かう意識があるといいと思います。ただし、テンポやリズムは決して急がないこと。マーチは基本的に『In Tempoの音楽』です。テンポをキープすることは、マーチ演奏の大前提です。

 [B](13)からはユーフォ、アルトクラ、テナーサックスとともにオブリガート。楽譜にもあるとおり、当然マルカートで軽やかに。符点のリズムが3連符になりないように気をつけます。舌はリラックス。さらに、音と音との間で息の流れを止めたり支えが抜けたりすると、うまくいきません。息は音一個一個にではなく、フレーズに対して流します。この部分と、その次の[C]もですが、16分音符から次の音への動きだけを取り出してよく練習してみてください。クリアに聞こえるように。なおかつ、リズムが鈍くならないように。

 もうひとつの練習として4小節目(16)の前半までをまったくタンギングなしで吹いてみましょう。息は流しっぱなし。途中にコブや凹みなしで、なおかつ楽譜のリズム通りスライドが動いていれば譜割りが聞こえるはずですね。右手のリラックス。手首も柔らかく。そのスライドの動きを忘れないで、さらに息や支えの感じもそのままに、楽譜どおりのマルカートで吹いてみましょう。5小節目(17)のDは(Fも?)4ポジションで。そして、[C]一小節前(20)はきちんとEs durのハーモニーを作りましょう。1stと2ndの4度、広くならないよう合わせてください。

 [C](21)のアウフタクトからは低音楽器群ととともにユニゾンのメロディです。おもな注意点は[B]と同様ですが、力強く。ただし荒っぽくならないよう気をつけてください。[C](21)あたまの低音Cですが、F管を使わず6ポジションの方がいいかもしれませんね。2小節目(22)のBは5ポジション、4小節目(24)4拍目16分音符と5小節目(25)4拍目のDは4ポジション、そして6小節目(26)Dは1ポジション(あるいは逆でもいいかも…)が、6小節目(26)4拍目の付点8分音符と16分音符のDは4ポジションが、それぞれおすすめです。考えてみてください。これを替えポジションをまったく使わずに吹くことは、まずありえないでしょう。そして、[D]1小節前(28)4拍目のハーモニーは、旋律の終わりの音ではなく、次の[D]のアウフタクトにしましょう。

 [D](29)は[B](13)の再現ですね。そして、Trio1小節前(36)からTrioへ入る部分は走らないようにくれぐれも気をつけてください。もちろんこれはトロンボーンだけではなくバンド全体ですが…。

 トリオの[F],[G],[I],[K]の伴奏形はビギンのリズム。小節の1拍目が重心。4分音符のテヌートは、ベタではなく抜いたテヌートで。そして8分音符は力を抜いて軽く。[G]の1小節前(46)は、ちょっと決める感じ。でも8分音符3つが決して走らないように気をつけてください。そしてもちろんこういう伴奏形は、音の1個1個で息の流れを止めないこと。音は歯切れよく、でも息はずっと流れている感じで。休符でも支えは抜きません。

 [J]2小節目(72)1拍前からのパッセージは、アルトクラ、テナーサックス、ユーフォと一緒です。アウフタクトとフレーズ終わりの2つの8分音符はユニゾン、それ以外の音はハーモニーになっています。それを把握してゆっくり合わせてみてください。アウフタクトの付点は、2拍目から出るグループ(ホルンなど)と同じ形とバランスになるように。フレーズ終わりの2つの8分音符は低音グループと一緒に少しはっきり決めるアクセントで。1st、4小節目(74)2拍目裏のFは4ポジションがおすすめです。3rd、もしF管のない楽器で吹かなければならないのなら、[J]2小節目(72)3,4拍目のFは6ポジションで。

 [L](85)からのオブリガートは、もちろんマルカートで。付点のリズムが鈍くならないように、16分音符もクリアに。16分音符から次の2分音符(付点2分音符)の動きだけ取り出して、よく練習してください。右手や上半身に力が入ってしまうとうまくいきません。

 そして、[L]5小節目(89)から、8分音符の3連符と4分音符の2拍3連のリズムがきちんとテンポにはまるように。この部分は、2拍3連の4分音符のそれぞれを8分音符2つに分割して6連符にして、メトロノームに合わせて練習してみてください。そうするとリズムがつかめると思います。

 最後4小節(91)の1st、DとFは4ポジションも検討してください。ただし、Dの4ポジションはちょっとだけ遠め、Fの4ポジションはちょっとだけ近めになります。その次の小節のE,Gの音程も、よく練習してポジション修正してください。

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