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海へ... 吹奏楽の為に

トロンボーンパート解説

 この曲は6/8拍子で始まり、中間部が4/4拍子になりますが、再現部はまた6/8拍子。6/8拍子は難しいといわれますが、その攻略がひとつの鍵です。8分音符単位のメトロノーム練習を十分にやってリズムを身体にしみこませ、その上で"2拍子のビート感"を持って演奏すること。付点8分音符,16分音符,8分音符の、"タァンタタン"のリズムがたくさん出てきます(文字だけだとこんなふうにしか書けません...)。作曲者も書いておられますが、このリズム、よく研究してください。くれぐれも、"タンタタ"になってしまわないように。

 それから、この曲でトロンボーンに課された役割は、ひたすら"ハーモニー"。それも、開離配置(和音の各音が離れている配置)が比較的多いのです。透明感や"広大な海"のイメージを意図したオーケストレーションなのでしょうけれど、この開離配置というやつ、うまくやらないと、各音がばらばらになってしまってなかなかハモらないのです。さてどう攻略するか…、一人一人が響きの多い"ハモる"音づくりをすること、パートでひたすらハーモニー練習をすること、楽器で合わせるだけではなく、"声で歌って"合わせること。とにかく歌う!歌う!歌う! もう"トロンボーン合唱隊"になりましょう。

 序奏、吹き始めて6小節間、この動きはトロンボーンだけですね。"タァンタタン"をうまく攻略すること。特に付点8分音符のニュアンスをパート内でそろえること。しゃべり方、長さ、密度。そして、もちろん澄んだハーモニーにすること。もしハーモニーディレクターなどが使えるのなら、低いDの音を鳴らしておいてゆっくりハーモニーを合わせていきましょう。あるいはテューバと一緒に練習してください。2ndと3rdに出てくるF、1stに出てくるC、低くならないように気をつけて合わせてください。

 [B]は序奏と同じ形ですが、ここはトランペットも一緒です。吹き方を合わせること。[C]の2小節前までは、それぞれの1st、2nd、3rd同士がオクターブになっています。それをちゃんと合わせることがポイント。

 [C]1小節前と8小節目のクレシェンドは、メロディをよく聞いて同じクレシェンドになるよう気をつけましょう。このクレシェンドのコードはちなみにF7です。1stのEs→Dは、Esが上ずらないよう気をつけて([C]の前C→Esは1stトランペットも聞いて)、美しく。4分音符のDは4ポジションも検討してください。[C]1小節前から[D]の前までの部分は、テューバと、あるいはホルンとも一緒によく合わせましょう。

 [C]偶数小節の付点4分音符2つ、ホルンにはスラーがかかっています。ですので、逆にこちらの付点4分音符は、低音群とともにややマルカート気味にして対比を出すといいと思います。ちなみにコードですが、2,10小節目はC7、4小節目はDm9です。透明感とともに広大な海のようなサウンドをめざしてください。

 [E]2小節前、[E]から始まる4/4拍子を予感させる2連符にしてください。アクセントの各音をどんなふうに表現するのか、よく研究してください。コードはどれもメジャーセブンスですので、テューバと2nd、3rdと1stのそれぞれ完全5度、よく合わせてください。1stのラインはしっかり出し、その上で各声部のバランスをうまくとってください。

 [E]から、"寄せては返す、さざ波"の中間部です。まず3小節間、透明感のあるハーモニーにしてください。テューバなどの低音群とよく合わせてください。2小節目のアクセントは、1小節目のメロディのクレシェンドを受けて、まさに"寄せては返す波"を演出してください。

 [F]のハーモニー伴奏形、開離配置であるとともに、3rdトロンボーンがバス声部です。さらにテューバやコントラバスがお休みですので、3rdは"内声"ではなく"ベースライン"であることを意識してください。他声部を支える土台の役割が必要です。でも力が入って硬い音になるのではなく、ふくよかさと包容力のある響きが大切。1st、3,4小節目のC→Hは、ホルンを聞いてください。それから各音はテヌートではなく、ややマルカート気味にすると雰囲気が出ると思います。よく研究してみてください。

 [H]4小節前ですが、その前のヘ長調が突然イ長調に転調し、再びヘ長調に戻って[H]の中間部クライマックスを導くという部分。その和声を担うという重要な役割がトロンボーンに与えられています。澄んだハーモニーをつくってください。ここでもやはり3rdはベースラインです。まず[H]4小節前のハーモニー、3rdと1stの完全5度、濁らないようによく合わせてください。2nd、第3音のFisは、5ポジションで難しいですが、よく聞いて合わせてください。大切な和音です。そしてその次の小節で1拍目のAのコードをちゃんと作れるよう、よく練習してください。さらに、シンコペーションのリズムをうまく表現してください。ただし、そのために音楽の流れが1拍ごとに切れてしまわないように、息の支えは"音符ごと"ではなく、全体を1つの支えで。[H]からは特に、ハーモニーをよく響かせてください。

 [K]は冒頭の再現で、気をつけるポイントは同じですが、新たな緊張感を持って演奏してください。

 [O]の4/4拍子で、展開部の旋律が再び出てきてコーダに向かいます。この部分は、ややファンファーレキャラクターでクリアに堂々と。タイのあとの16分音符の入りやリズムが乱れないように気をつけます。4拍目あたまに重心をかけてしまうと、かえってうまくいきません。メロディを聞いてください。ただしメロディに"ついていく"のではなく、8分音符単位のカウントを各自がちゃんと持って演奏してください。もちろんハーモニーを意識します。トランペットや低音楽器とよく合わせてください。[B]や[M]の部分と同じく、トランペットとトロンボーン、1st、2nd、3rd同士がそれぞれオクターブになっています。

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