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吹奏楽のための一章


 この曲のトロンボーンのパート譜には、多くの音にアクセントがついています。アクセントがないいくつかの音にはスタッカートが、そして、アクセントもスタッカートもついていない音は6つしかなくて、それらにはテヌートが書かれています。みなさんは、"アクセント"や"スタッカート"の意味をちゃんと知っていますか? アクセント=ぶつける、ではないし、スタッカート=止める、ではありませんね。

 アクセントは、もともと"目立たせる"というような意味で、概ねその前後の音にくらべて強くという意味で使われます。もちろん、"ぶつける"という意味があるわけではありません。さて、では、ひとつのパッセージの音が全部アクセントだったら? "目立たせる"やり方にはいろいろありますね。大きくする、発音をはっきりする、息を多めにする、音のスピード感、重量感… そのほかいろいろな表現があります。では、どんなふうに演奏してほしくてアクセントが書いてあるのでしょう? イメージしてみましょう。

 そしてスタッカート。もともとは、離す、切断する、一語一語切って発音する、などの意味です。音を明瞭に分離して演奏するということですね。そこから、"短く"ということになります(誰が決めたか知らないけれど、もともとの音価の半分の長さという記述もあります)。が、決して"止める"ではないのです。まれに舌などで音を止める表現をすることもありますが、それは特殊な場合です。弦楽器に"スピッカート"という奏法があります。弦の上で弓をはずませて弾く歯切れのよいスタッカートなのですが、このとき1音1音の響きは"止め"られていないですよね。そんな感じ。まずはロングトーンやテヌートと同じ息の流れと身体の感じでスタッカートができるように練習しましょう。

 曲の解説に入ります。2/4拍子に入って2,4小節目の1st、ここは"4番トランペット"だと思って吹きましょう。よくアンサンブルしてください。そして[A]の3小節目からですが、ここもトランペットとよくアンサンブルしてください。テンポを落としてハーモニーも確認しましょう。トランペットの中に自分とのユニゾンやオクターブの音があることに気づくと思います。よく合わせること。そして例によって全部の音にアクセントがありますが、だからといって全部が同じキャラクターではなく、シンコペーションのリズムを意識してみましょう。

 [D]の3小節前から[E]の前まで、それから[X]の3小節前から[X]まで、そしてラストの2小節はいわゆるTuttiですが、こういう部分では特に、各音を全員が同じしゃべり方、同じキャラクターやアーティキュレーションで演奏することがとても大切。でないと、リズムやバランスがいくら合っていてもバラバラにしか聴こえないのです。

 そして[E]ですが、ここはユーフォ、テューバ、コントラバスとのユニゾン(オクターブ)ですね。まずは、きちんと音をとって、ていねいに音程を合わせること。気をつけるポイントは、4小節目GisからDに上がるところ、5小節目の跳躍、8小節目の増2度、8→9小節目のFisからDへの跳躍など。声で歌って音がとれるくらい練習してください。替えポジションですが、6小節目のBは(近めの)5ポジション、[F]3小節前のDは(遠めの)4ポジションも使えます。6小節目、5ポジションを使うのなら、当然Cisの5ポジションとBの5ポジションは同じではないので修正してください。そしてもちろん、各音のしゃべり方をユーフォ、テューバともよくそろえること。いわゆるトロンボーンならではのアクセントにはならないように、"みんなでひとつのメロディ"にしてください。

 [F]からは、伴奏グループで集まって合わせてみてください。あとうちについての解説は去年の課題曲"春風"の中にも詳しくありますが、ここのあとうちは、歯切れよく。もたれたりして重く鈍くなってはいけません。発音もクリアに。そのためには決して、1つ1つの音をねらいうちする感じにならないこと。支えは音符ごとではなく、11小節間ずーっと支えたまま吹ききるのがコツ(もちろんブレスする時は緩めます)。そして、最後までテンポがゆるまないよう気をつけてください。

 [H]、[P]、[R]のあとうちも注意点は同じですが、ここではアクセントがついています。少しエッジを効かせて。でも決して"ぶつける"にならないように。

 [J]の5小節目から、[E]と同様のことに気をつけてください。ここでは仲間が増えて、ファゴット、バスクラ、バリトンサックスが加わります。替えポジションは、[K]2小節前のDは(遠めの)4ポジションも使えます。気をつけるポイントは、吹き始めて3小節目のDes→Eの増2度、そして、E→F→Es、6小節目のF→H、8小節目のG→Dなど。それから、5小節目のHは、その前のGと同じ4ポジションでは低いと思います。修正してください。ほかの楽器とも、よく音程を合わせてください。

 [N]は、ホルンと一緒にハーモニーを確認してみましょう。[O]1小節前の後半は、1stはDisですが和音はF7です。が、次のEに解決するドミナントモーションを意識するために、あえてEsではなくDisと書かれたのだと思います。それから、[O]あたま、3rdのGis、第3音だからといって弱くしてはダメ。なぜならGisはほかに1stホルンにしかないからです。スタッカートは歯切れよく。くれぐれも"止めて"しまうと、音楽が流れなくなってしまうので気をつけて。

 [P]6小節前からのハーモニーは、ちょっとシンフォニックな、堂々とした感じになるといいと思います。もちろんホルンや低音とハーモニーを確認すること。[Q]に出てくるハーモニー(ここでテヌートが出てきます)は、トロンボーンだけ。澄んだハーモニーにしてください。気をつけることは、クレシェンドが"音符ごと"にならないこと。1小節間で1つのクレシェンドに。そして、インテンポ。

 [U]の部分のハーモニー旋律、澄んだハーモニーになるようホルンなどとよく合わせてください。[Y]は、ユニゾンであることに気をつけて、よく合わせてください。


I   架空の伝説のための前奏曲/山内雅弘

III  パルセイション/木下牧子

IV  海へ... 吹奏楽の為に/三澤慶


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