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サンライズマーチ

トロンボーンパート解説

 タイトルのとおり、そして作曲者(高校に入る前に作曲されたそうです)も解説に書いておられるとおり、爽やかな朝をイメージさせるマーチです。それも、雄大な大自然の中での朝焼けをイメージしてしまうのは、ぼくが田舎育ちだからなのでしょうか…。この曲でのトロンボーンには、ほかのマーチにもあるようなマルカートのパッセージやあとうちだけではなく、レガートの動きやオルガンのようなハーモニーなど、いろいろな要素が要求されています。

 まずイントロです。各音の吹き方はバンド全体で統一されるよう気をつけてください。付点4分音符はベタではなくマルカートで。16分音符もクリアに発音してください。そのためには、舌の力ではなく、息の流れが大切。2小節目の付点のリズムは、16分音符が鈍くならないよう気をつけてください。3小節目は、トロンボーンは2分音符ですが、付点4分音符+8分休符のパートもあります。付点4分音符のパートは、メロディー声部2,4拍目にあるスタッカートの8分音符と切りを揃えればいいのですが、トロンボーンやホルンなど2分音符のパートは、2分音符グループの中で統一された吹き方に合わせてください。

 [B]の2小節前、澄んだハーモニーにしてください。2ndのCと3rdのGをまず合わせて、そこに1stが入ってみましょう。1st、3拍目でFに上がる時、2ndのCをよく聞いて。次の小節でBに上がる3rdは、先に鳴っている1stのFをよく聞きます。そしてこの箇所は、テューバなどの低音楽器とも合わせてみてください。ハーモニーは楽器で合わせるだけではなく、声で歌って合わせてみる練習も有益だと思います。[B]の1小節前後半の音型は、軽く。

 [B],[E]からはユーフォ、アルトクラとユニゾンでオブリガートです。まず替えポジションの提案です。2小節目のD、3小節目4拍目の3連符最後のD、7小節目4拍目の3連符の中のD、[E]の5小節目のDは、それぞれ4ポジションを検討してください。1ポジションでは困難だと思います。そして、このパッセージ、部分的にレガートがかかっています。それと関連してF管のある方に1つ裏技を…。[B],[E]の1小節目、16分音符のCですが、1ポジションのままF管を押さえても出せます。この場合2小節目のDは1ポジションで。それから、7小節目の3連符に出てくるEsも、F管の1ポジションで出せます(でもこれは低くて使えないかも…)。トリオ2小節前の3連符中のCもF管の1ポジションが使えます。その場合、Dはもちろん1ポジションで。

 レガートの吹き方ですが、(1)替えポジションを使って、レガートタンギングで吹く。(2)替えポジションを使って、タンギングなしで吹く。(3)裏技を使って、タンギングなしで吹く…。(1)がいちばんオーソドックスでしょうね。(2)は、かなり高等技術だと思います。それに、各7小節目と[E]の5小節目ではレガートタンギングが必要です。(3)は、やや不自然な感じがあるかもしれません(汗)。ユーフォやアルトクラと吹き方を合わせる必要もありますし、いろいろ試してみてください。レガートでもっとも大切なことは、息の流れが1本につながることです。アクセントの4分音符は、響きのあるアクセント、歌ったマルカートで。そしてこの部分は硬くならないように、フレーズを感じてのびのびと歌ってください。メロディーと対等に。

 [C]のアウフタクトからは低音楽器群(ファゴット、アルトクラ、バスクラ、テナーサックス、バリトンサックス、ユーフォ、テューバ、コントラバス)とともにオクターヴユニゾンの旋律です。まず1stと2nd、3小節目と4小節目のDは4ポジションを、3rd、2小節目16分音符のBはF管で3ポジションと4ポジションの間くらいを、それぞれ検討してみてください。ただし音程には気をつけて。16分音符、鈍くならないように、クリアに。息の流れに乗ってタンギングする感じで。そしてここの部分ははっきりマルカートで力強く、さらに2小節で1フレーズになるように気をつけてください。

 [D],[G],[I]は、あとうちです。"マーチ「春風」"の解説にも書きましたが、あとうちでは8分休符で毎回ブレスをしてはダメ。そして、あとうちでも『音符1個1個』ではなく、横の流れ、『フレーズ』を感じること。それから、音は上体で止めないで。上体はラクに。支えの瞬発力と敏感なくちびるでクリアに吹く感じ。そして、『前向きに』吹くこと。拍の真裏よりもわずかに前で発音する感じ。テンポは正しく、音符はわずかに早めにつかむ感じ。そのほうが歯切れよく聞こえます。らくに、大きすぎないように。低音群やパーカッションも含めた伴奏グループで合わせてみましょう。

 トリオに入って、[F]はトロンボーンのみのハーモニー。もし1つのパートを何人かで重ねて吹いているのなら、この部分は各1本ずつの3人で吹くのがいいと思います。静かな部分なので、大きすぎないように吹くのが難しいかもしれませんね。ピアニッシモを無理に押さえ込んでしまって硬くならないように。そっとやさしく歌うような感じで。上体のリラックスと自然な息の流れを大切に。3小節目、4小節目、12小節目、15小節目前半、16小節目、1stと2ndのそれぞれ4度、広くならないよう気をつけて合わせてください。1st、[G]2小節前のD、4ポジションも検討してください。そして、2小節のかたまりごとにわずかにクレシェンド、ディミヌエンドをつけて、まん中をふくらませるような感じにするといいかもしれません。ただし、くれぐれも音符1個1個にクレシェンド、ディミヌエンドをつけたような感じにはならないように、2小節間で1つになるように気をつけてください。

 トリオの中のあとうちの部分ですが、4分音符にはスタッカートが付いていないことに注意。[H]のアウフタクトからは、クリアに、でも音色は硬くならないよう注意してください。吹き方やユニゾンの音程、他パートとも合わせてください。

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