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パクス・ロマーナ

トロンボーンパート解説

 この曲はマルカートの吹き方が中心にはなりますが、タイトルのとおり、また作曲者の解説にもあるとおり、古代ローマ帝国がテーマです。全編通して軽々しい音にならないように気をつけてください。3連符は正確に3等分で。16分音符と3連符は正確に吹き分けてください。拍のあたまがタイや休符で、拍の裏から動き出すパターンも多いです。タイミングをとるのではなく、拍を細かい単位で感じてください。また、ユニゾン、オクターヴや5度の部分が多いです。それらが濁らないよう気をつけてください。

 まず冒頭、1stと2ndの、トランペットとのオクターヴユニゾンの動きですが、ファンファーレキャラクターなので、楽譜に書いてあるとおりマルカートで1つ1つの音がクリアに聞こえるように気をつけてください。輝かしく。ただし軽々しくならないように、深みと、そしてやや重厚な音色をイメージしてみてください。なにしろローマ帝国ですから…。それから、1つ1つの音だけにとらわれず、フレーズを感じてください。そしてそのフレーズの中のどこに重心があるのか、考えてみてください。

 もちろん、トランペットと吹き方を合わせること。そしてユニゾンをよく合わせること。ユニゾンは特に、『みんな合わさって1つの音』という意識が大切。3連符は正確に3等分で。それから、タイの後の16分音符が乗り遅れないよう、拍をこまかく感じること。冒頭2拍目など、重心をかけたり、拍を感じるために体や楽器を動かすと、必ずそのあとの動き出しが遅れてしまいます。裏から動き出す拍の頭を感じるのではなく、その前からこまかい単位で拍を感じること。3小節目の16分音符のDは、4ポジションも検討してください。ただし、音程に気をつけて。[A]2小節前の3rdトロンボーン、テューバや木管群とキャラクターを揃えて。

 [B]の2小節目から、トロンボーンのみのユニゾンの動きですが、やはりややマルカートぎみにクリアに吹いてください。ユニゾンなので特に音程に気をつけること。裏から動き出す3連符ですが、遅れず正確に3等分になること。やはり、その拍の頭ではなく、その前から拍をこまかく(3連符単位で)感じること。そして、右手のリラックス。

 [C]ですが、2小節目と4小節目、ホルン、ティンパニーと一緒です。オクターヴと5度の動きなので、いちど音程を確認してみてください。2小節目は16分音符と3連符を正確に吹き分けること。4小節目後半からの1stですが、トランペット、ホルン、ユーフォと一緒ですね。音程、吹き方を揃えてクリアに。

 [D]の2小節目からのユニゾンの対旋律は、アルトクラ、ファゴットと一緒ですが、やはりトロンボーンがメイン。音域が低く、クリアに吹くのが難しいと思います。大きくはっきり吹こうとするあまり、息を押し込んでしまってはダメ。音域が低いので、息のスピードが速くなりすぎると、ちゃんと反応してくれません。それに、上体も硬くなってしまいます。上体と右手をリラックスさせて、『響きでクリアに』吹くこと。そして、『みんな合わさって1つの音』。4分音符の部分では、音符と音符の間で体が硬くなってしまっていないか気をつけてみてください。フレーズを感じて。スラーの部分はタンギングなしでもいいです。

 [E]は他の楽器と吹き方をそろえること。長調が3小節目から短調になります。それをちゃんと感じてください。

 [G]から、ホルンを受け継いでの伴奏形ですが、その前のpからここでmpに強弱が1段上がります。ただし大きすぎないように。サックスと一緒ですから吹き方を合わせてみてください。[H]からは、調性は変わりますが気をつけることは[C]と同じです。

 [I]は、低音楽器群とともにフォルティシモでテーマが出てきます。pesanteとありますから、重さと力強さを持って、ただしテンポは遅れないよう気をつけてください。オクターヴと5度の動きですから、音程を合わせてみてください。1stと3rdがオクターヴで、3rdはテューバ、バスクラ、バリトンサックスとユニゾン。2ndは5度で、ファゴット、アルトクラ、ユーフォとユニゾン。力まないように、やはり『響きでクリアに』吹くこと。1小節目と5小節目、各2拍目の1stのDは、4ポジションも検討してください。ただし、音程に気をつけて。4小節目、3rdのDは、音域が低いですが特に音程に気をつけて合わせてみてください。F管で、普通の4ポジションより少し遠くなるはずです。

 [J]からは低音楽器群の動きの上にハーモニーを付けていると考えてみてください。吹き方をそろえるためにも、一度、低音楽器群と合わせてみてください。そして、3小節目のアウフタクトから、こんどはトランペットのメロディーに加わります。トランペットと合わせてください。5小節目からは、また低音群のグループ、そして7小節目のアウフタクトから、再びトランペットに加わります。

 [K]の2小節前から、3rdは低音群と音程や吹き方などを合わせてください。そして、1小節前ではアラルガンドがかかりますが、1stと2ndの8分音符、マルカートでもテンポが遅くなれば、1つ1つの音符の音価は長くなっていくということを忘れないでください。もちろん他の楽器たちと吹き方をそろえて。

 [K]からは、最初に出てきたファンファーレがテューバ以外の金管群で、こんどはユニゾンではなくハーモニーで出てきます。ハーモニーといっても普通の3和音ではなく、Gから始まるグループ(低音声部/2nd,3rdトロンボーン、ユーフォ)、5度上のDから始まるグループ(旋律声部/1stトロンボーン、4thホルン、1st,2ndトランペット)、さらにその5度上(4度下)のAから始まるグループ(内声/1st,2nd,3rdホルン、3rdトランペット)が、平行に動いていきます。3つのグループのバランスにも気をつけて合わせてみてください。そのほか、冒頭の部分と同様のことにも注意してください。

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