2009/02/23(月) 想像力
 『エル・システマ』と呼ばれるベネズエラのオーケストラ教育が成功をおさめている。ベネズエラという国は貧困と犯罪で治安が悪いという。そんな国のなかで、子どもたちを音楽で救おうと始まったのが、エル・システマ。その活動は大きな広がりを見せ、たくさんのユースオーケストラができて、多くの子どもたちが音楽に希望を見出しているのだそうだ。

 日本でも吹奏楽などは盛んだけれど、それは時として企業や音楽家の金儲けの道具だったり、ただの売名行為だったり、よくない指導者に導かれたためにかえって希望を失う子どもたちがいたり、前近代的な指導法が未だにはびこっていたりする。いや、ベネズエラみたいに音楽が子どもたちの希望の糧になるようなすばらしい活動をしているバンドもたくさんあるけれど…

 音楽に希望を見出す、音楽で救われるって、何だろう…。ときどき話すんだけれど、音楽って、上を目指したらきりがない。下を見ても、きりがない。そんな中で、いい演奏って…。でも、子どもたちって本能的にわかるんだと思う。いい演奏って、相対評価ではなくて、自分たちの中にある。それを引き出せれば、子どもたちは生き生きする。上に書いたみたいにただのまやかしなら、むなしさが残るだけだろうと思う。

 不景気だ失業だ倒産だ派遣切りだって言っても、ベネズエラよりはずっと治安がよく豊かな国日本。そんな国にいながら、なぜかどうもマイナスの発想になってしまうのはなぜだろう…。ぼくを(大いに)含めてこの国の人たちに足りないのは、あかるい未来への想像力なのかもしれないな、と思う。