2014/02/08(土) 絶対音感
 しばらく前に,『絶対音感が手に入る薬』という記事がありました。そこには,『音楽的才能の開花とも密接に関係している「絶対音感」と呼ばれる能力』と書いてありました。が,『音楽的才能』と『絶対音感』は関係がないです。

 今,ゴーストライター騒動で有名な佐村河内氏,『耳が聞こえないので絶対音感を頼りに作曲していた』と以前に語ったそうですが,ありえないですね。絶対音感が作曲に有利だとは言えません。特にああいう調性音楽ではね。。あと,絶対音感の人は,いわゆる『耳コピ』が早い,っていうのも都市伝説です。

 前にも書いたと思いますが,『絶対音感』と『相対音感』,どちらが優れているというものではなく,一長一短です。どちらも訓練によって身につきます。どうして絶対音感が万能みたいに言われるんでしょうかこの国では…。欧米ではどうなのか知りませんが,日本には絶対音感幻想みたいな変な考え方があるのかもしれませんね…。

 特に,管楽器や合奏楽器を演奏する場合,そこで要求される音感っていうのは,前の音に対してどうか,まわりの音に対してどうか,っていう,いわゆる『相対音感』です。

 たとえば,もし『純粋な三和音』を奏でようと思ったら,耳の中にある平均律(絶対音感ってたいていピアノで習得するのでいわゆる平均律ですよね)ではなく,まわりの音に対してうなりがなくなる,倍音に入るところで演奏しなければならない。『相対』なんですね。第3音が低くて気持ち悪い(いるんですよそういう人も)っていうのでは,ちょっと困るわけです…。

 きっと,音楽をしない一般の人たちが思っている『音楽の世界』っていうのは,実際とはちょっと違うのかな,と思います。