2014/01/29(水) 響きって…
ある学校で指導した時のこと…,ぼくは「もっとひとつひとつの音の響きを」と言ったのですが,そしたらそれに対してその時の生徒さん,音の残響を長くするんですよ。えっ!?「えっと,響きって,そこじゃなくて」…
そのときは,アタック,発音したらすぐに音が痩せてしまっていたので,もっとひとつひとつの音自体を鳴らして欲しかったのです。そういう意味で,「もっと響きを」と言ったのです。
吹奏楽では,音の『アタック』,『コア』,『リリース』なんていうふうに言ったりしますね。音の形,音型をそろえるためにそういうことを言ったりすると思うのですが,この中の『リリース』って,一体何なんでしょうね…。残響? 余韻? えっと,それは『ホールの仕事』ですよね。吹き手の仕事ではないんです。
意識して1つ1つの音に残響や余韻をつける必要なんてないんです。そんなことをしたら不自然です。よく鳴らす,音をよく響かせるというのは,余韻をつけることなんかではないんです。音のリリースは,ただ『止めない』だけ。もちろんいつでも止めないわけではなくて,止める場合もあります。舌とかでね。
そのときは,音の形を黒板に書いて,吹いて聞かせて,わかってもらえました。鳴ること,響くことってほんとうはどういうことなのか,音の処理って一体何なのか,ほんとうにそれを知るためには,ナマでいろいろな音を聴くしかないと思います。