2014/01/24(金) 目先の結果を急ぐ弊害
ある学校で金管指導した時のこと…,トランペットの子なんですが,高音を,とっても力んで吹いているんですよね。わりとよくある光景です。
どうしてこんなふうになってしまうのか…。目先の音が並ぶことを急ぎすぎた結果のような気がしてならないのです。先生に要求されたのか,自分自身でそう仕向けたのか…。で,結局は力任せになってしまう…。それまで適切な指導がなされなかった結果ですね。
こんなとき,「余分な力を抜いて」とか,「リラックスして」なんていうアドバイスは無意味です。そんなこと言われたって,言われた方にしてみたらどうすればそれができるのかわからないし,だいいち『力んでいる』っていう自覚すら,なかったりします。
「高い音を出すのには力がいるよねぇ」「どうして力がいると思う?」「なんのために力がいるんだろう?」「音を出すって,どういうことだと思う?」と,質問してみます。
金管楽器の音が出るのは,くちびるが振動するからですよね。どうして振動するかというと,くちびるの間を息が流れるから。その息は音によって色々ですが,息が『流せて』いるうちは音が出るし,息が流せなくなるところが『限界』ですよね。この大切な『息の流れ』を,身体やくちびるが力むことによって妨害してしまっていることがとっても多いのです。。
吹いてみせてから,「くちびるの間を息が流れるために力が必要なんだよね。そう思って吹いてごらん」と言って,吹いてもらうと,音もとってもよくなって,力みも少なくなりました。「力を抜いて」なんて全然言っていないのに,です。
子どもたちはひとりひとり違うので,いつでも同じやり方がうまくいくとは限りません。でも,ほんのちょっとした導きと気付きで,全然ちがう世界が拓けたりするものです。また,目先の音を並べることよりも,急がば回れ,のんびりが大切だったりもしますね。