2013/10/02(水) 弊害ことば(1)
学校吹奏楽,管楽器指導の現場で使われている,身体の実際に沿ってないイメージ上の言い方,たくさんありますね。考えたんですが,そういう言葉って,その場ではもしかしたら役に立つこともあるかもしれないけれども,時が経てばきっと弊害になると思うのです。自分自身が,そういうものにずいぶん苦しめられてきたと思うからです。で,具体的には何があるか…。
『おなかに息を入れて』…息はおなかには入りません。肺に入ります。肺は胸郭の内側の多くを占めています。身体の上の方(くわしくはオンラインレッスンを)にあります。息を吸っておなか,腹部が膨らむように感じるのは,肺のある胸部と腹部を隔てる横隔膜という筋肉が働いて下がる結果なのです。そういうふうに正確に,ほんとうに自分の身体のとおり正確に認識することは,とても大切だと思います。
『息はうしろを通して』…実際には,息は肺から気管を通って喉,口腔や鼻に達します。もちろん吸うときには,この逆の経路をたどります。身体で実際に起こっていることを正確に認識することが,いちばんプラスになると思うのです。
『喉の奥に息を落とす』『喉を下げて』『喉を広げて』…これを言われて,意識的に不必要にのどを広げたり,言葉の意図とは違う動きをして緊張が生じれば,それは間違いなく弊害になります。また,言葉だけを受け取って身体を作為的に仕向けてしまうと,たとえ意図の通りの動きでも,いずれは弊害になります。ですので,こういう言葉がひとり歩きするのが最も危険だと思います。
『胸を張って』とか『背筋を伸ばして』なんてのは,もう言うに及ばず。今では多くの人が,弊害になる言葉だと知っていると思います。
[明日の日記に続く…]