2013/01/19(土) 操縦不能
 また内田幹樹さんの航空サスペンスを読んだ。『操縦不能』。

 飛行機の高度は『気圧高度』といって、『高度=気圧』なのです。スタティック(静圧管)というところから外部の気圧を計って、それで高度を表示しているんですね。で、速度のほうは『対気速度(エアスピード)』といって、飛行機の前の方にピトー管(動圧管)というのがついていて、そこに入る空気を計って、静圧管の数値も合わせて計算して、要するに、まわりの空気に対してどれだけのスピードで飛んでいるのかを表示しているんです。

 この小説は、その静圧管がふさがれて高度や速度がわからなくなってしまったジャンボジェットを、地上のシミュレーターと無線で通信しながら、はたして無事に着陸させられるか!?というお話。いや、それだけじゃなくて、もっといろいろあるんだけれども…。

 内田さんは元全日空パイロットだけあって、すごいリアリティがあって引き込まれる。これは特に面白かった。飛行機にとって、スタティックやピトーがダメになるっていうのは大変なことなんですね。小説の中だけじゃなくて、実際にそういう事故も起きているんです。

 あと、飛行機には昇降計っていう、どのくらいの降下率(上昇率)で降下(上昇)しているのかを表示する計器もある。ジャンボジェットのようなハイテク機だと、IRS(慣性航法装置)っていうのが載っていて、その中でジャイロが回っている。それで飛行機の位置や動きなんかがわかるようになっているんだけれど、昇降計はその情報で動いているんだそうなんです。この小説で初めて知ったよ。普通の飛行機の昇降計は高度情報で動いているけれど、ジャンボの昇降計はIRSなんだ…。

 マニアックな話でごめんなさい(^^;。でも、マニアでなくても内田さんの小説はきっと楽しめますよ!!

http://www.shinchosha.co.jp/book/116043/