2013/06/22(土) 純正律(2)
さて、ここでいくつかの問題が残ります。まず、2小節目1拍目のDm7というやつ。これ、どうやって合わせます? よく見るとわかるように、直前のFコードと共通音が3つもあります。F、A、C。というより、FコードにD音を足したと言ってもいい。じゃ、共通音はそのままに、D音はA音から完全五度をつくりましょうか。と、A音は15.4セント低かったから、純正な五度をつくるために、D音は17.4セント低く。これでも純正なDm7が響きます。
でもちょっと待って。2小節目3拍目、G7のD音は4セント高いんですよ。17.4セント低いDと、4セント高いD。すごい段差ですね。もしこれがタイでつながっていたりしたら、3拍目に入った瞬間にぐわっと動かしますか? う〜ん、、それなら、と、4セント高いDを基にしてDm7をつくると…、今度は1小節目から2小節目へ行くときに、すごい段差ができてしまうことになります…。
ハーモニーディレクターをハ長調の純正律にしてDm、レ、ファ、ラを鳴らしてみましょう。きっとものすごい音がするでしょう。IImとかIIm7って、よくある和音なのに…。じつは純正律が純正になる和音は、ハ長調だったらC△7、Em7、F、G、Am7だけなんですよね。
次の問題…。2小節目3拍目のG7。この第七音Fを、どう合わせるか…。純正七度、自然倍音列の第7倍音というやつですけど、これは31セントも低い。2セント高いGからの第七音なので、それでも29セントも下げないと純正七度になりません。半音は100セントですから、その1/3近く。曲にもよるのでしょうけど、これは非現実的ですよね。まあ属七の第七音の問題は、ほんとうは純正律とは別のものだったりするんですけどね…。
だいたい属七、セブンスの和音というのは、H音とF音の不安定な減五度音程(トライトーン)が、安定な三度音程に解決したがる(ドミナント・モーション)コードなので、この第七音を純正に響かせようという発想は、必ずしも正しくないことになります。ブラームスのシンフォニーをやったときに悩んだポイントなんですけど…。
[明日の日記に続く…]