2013/06/07(金) 基礎合奏
 基礎合奏の話題がTwitterで盛り上がっていたみたいだけれども…、、その中で、『基礎合奏は個人練習の代用』的な意見も見られた。

 学校バンド、特にあまりレベルの高くないバンドだと、個人での楽器の練習はあまり効率的ではないだろう。なにをしていいのかも、どんなふうにしていいのかもわからない。また、先生も個々にまでは時間的に手が回らない。そんなとき、基礎合奏と称してみんなで一緒に音が出せれば効率がいいという発想になっても、無理からぬことだと思う。各楽器の基礎練習を合奏でやっちゃうのが基礎合奏、という発想。

 なので基礎合奏の教本の中には、『楽器の基礎練習から合奏の基本までこれ一冊でOK』みたいな触れ込みのものもあるし、そういうものが重宝されるのも理解できる。でも、楽器の基礎練習をなんでも基礎合奏でやるのには、はっきり言ってムリがあるのです。

 たとえば金管のリップスラーは、あんまりでっかい音でやるのはよろしくない。でも合奏で全員で吹いたら、どうしてもでっかい音になる。しかも木管楽器はそこにハーモニーを付けてくれていたりする。ますますガナってでっかく吹く。これでははっきりいってリップスラーの練習としては逆効果だと思う。

 基礎合奏は、Twitterでも以前に書いたけれど、音が寄ること、ブレンド(といってもいろんな意味があるけど…)。その瞬間の和音と、個々のソルフェージュ力、横の声部。ハーモニーの流れを感じること。そういうのを合わせて養っていく場。さらに各楽器、各人の音符のしゃべり方、発音やアーティキュレーションをそろえていく意味もある。ただのタンギング練習ではないのです。単なるタンギング練習なら個人でやればいいですよね。

 一人で吹いてうまいのと、合奏能力が高いのとは別の能力です。ウォームアップやソロを吹くとうまいけど合奏に入るとダメな人、また、その逆の人っているでしょ。個人じゃ出来ないこと、合奏や合わせることでしか養えない演奏力ってあるのです。それをやる、いわばバンドとしての基礎練習が、ほんとうの基礎合奏だと思います。料理で言ったらフォン、ダシ汁づくりです。