2013/04/26(金) 才覚
20代の頃は、自分にはなんだか才覚があるんじゃないか、なんて思っていた頃がある。特別なんじゃないかと…。音楽のことに限らず、あたまが回って、いろいろなことがわかって。どうしてみんな、これがわからないんだろう、なんでみんな、これが聞こえないわけ? とか思っていた。
でも、いろんな人に出会ったり、いろんな人たちを見てきてわかったこと…。あの頃才覚があるんじゃないかなんて思っていたのは、少なくとも自分の中のごくごく狭いチャンネル、感覚に基づいてだけのことだと。逆に、自分がわからないこと、感じ取れないこと、できないこと、そんなことを簡単にやってしまう人たちが、世の中にはたくさんいるんだということ。
自分の思考、感覚、アンテナ、それは自分固有のものでしかなく、人はみなそれぞれに違った思考回路や感覚を持っている。きっと自分の思考や感覚にあるものだけを実体だと思っていたのであろうあの頃は、愚かで、まさに井の中の蛙だったな、と、今となっては思う。だいたいほんとうにずば抜けた才覚がある人間は、自分のことを特別だなどとは思わないものだろう。
人は誰でも、唯一無二の才覚があるんだと思う。