2011/07/05(火) コンクール課題曲について(2)
 ほんとうは、指定の楽器、指定の編成で、指定のとおりに演奏しなければならない課題曲。昔、自由曲で使うコントラバスクラを課題曲でバスクラに重ねて使って失格になった団体があったけれども、じつはもっともっとたくさん改変みたいなことがおこなわれているのも事実なんです。なかには客席で聴いてあきらかにわかるような改変もある。

 トランペットにクラリネットを重ねるとか、トロンボーンにユーフォを重ねるとか、ホルンにユーフォを重ねるとか、テューバにトロンボーンを重ねるとか、トロンボーンにクラをこっそり重ねるとか、オクターブ上げるとか下げるとか、内声の音を入れ替えるとか、別の構成音に替えちゃうとか(第3音を減らすとか)、さんざんいじり倒している団体もじつはけっこうあるのです。そりゃ、ぼくも少しはやったことがあるけれど(自由曲でね)、そういう知恵を考えることをウリにしてるんじゃないかって指導者さんもいたり…

 楽器を変えたり重ねたりするのは論外だけれども、和音の構成音だって、たとえばドミソとあって、それぞれの音をどういう割合でどう組み合わせ、積み重ねるのか、また、その前後の音の流れなんてことは、作曲家や編曲家が考えてイメージや意思を持って書いていること。それを安易に変えてしまうのは、その曲や、曲を書いた人に対してどうなのか? と思う。そりゃあ、変えたほうがいいことだって時にはあるのも事実。課題曲にはまずほとんどないけれど、楽譜の間違いだってないわけではないしね…

 で、なんでコンクールで楽譜を改変するのか…、それは多くの場合、楽譜通りに演奏してうまくやる実力がないからだったりする。そこを、練習して克服するのではなく、楽譜に手を入れることで逃げる。たとえば、楽器を重ねたほうが演奏効果が上がる…、それは裏を返せば、元の楽譜通りにやって豊かなサウンドにする実力がない、ってことだよね。第3音を減らすのだって、元々の楽譜通りで澄んだ響きをつくる実力がない、ってことだよね。でも、課題曲でそれをやるのは、ほんとうは反則。

 あまりにも節操のない改変には少しきびしく対処してもいいんじゃない? って思うこともあるなぁ…