2011/04/27(水) 呪縛
 ここのところ、ちょっと楽器の調子がよくなかったのだけれども、はたと原因に気づいた。こういうのを気づくのって、なにげに突然なのです。それも、吹いている時ではなく、なんとなく考えるでもなく考えてるような時に、はっ、と気づいたりする。メロディが出てくる時と同じです。。

 原因… アパチュアが大きすぎた。ばかみたい。ここまでアパチュアを大きくしたら、つかみに行くしかない。と、喉は地声になろうとする。いや、この頃はアパチュアを大きくしようと思って吹いていたわけでは全然ないんだけれども、昔、アパチュアをもう少し大きく、って意識していた時期があって、その時のことを身体は憶えている。と、無意識のうちに身体が『アパチュアもっと大きく』という反応をしてしまっていたようで…。『呪縛』ですね。

 自分でオンラインレッスンにも書いているけれども、『やればやるほどいい』なんてことはまずなくて、すべてのことには『ちょうどいい頃合い』ってのがある。だから頭で考えるのはよくない。それを頭で考えなくなってからでも、身体は勝手にそっちに突っ走っていったりする。わかっちゃいるんだけれども、それでもそこにハマっていく。かくも人間とはおバカな生きモノだ。

 いちばんいいのは、何も考えず悩まず、ただ、いい音といい音楽を追い求めてスクスクと上達していくこと。でも、そういう人種のことを、人は『天才』と呼ぶ。凡人はそうはいかない。考えながら練習する。そこに『呪縛』が生まれるのです。生徒をレッスンするときもそう。レッスンしていて見つけたこと、観察したこと、気づいたこと、それを全部生徒に伝えるのは、最悪の教え方だ。逆に、何も伝えずに導くことがもしできたら、それが最高だと思う。