2009/01/17(土) アンサンブル能力
 新国立劇場の合唱団員が契約更改されず、裁判が続いている。手続き上は毎年試聴会(オーディション)が開かれ、メンバーが決まるしくみになっている。

 裁判の争点はいろいろだろうが、ある報道では、雇い側の『合唱団を日本最高水準にするには、実力本位の制度(毎年の試聴会)が正しい』と、雇われ側の『いい演奏のためには、安定した労働条件にすべきだ』との、双方の考えの対立が書かれている。でも、なんか大事なこと忘れてないかい!?

 合唱なり合奏なりの水準にかかわる『アンサンブル能力(合奏能力)』っていうのは、個人の技量とはまた別のものだ。それは、いい演奏のためには『労働条件の安定』よりも大事なものだし、また、個々のオーディションである『試聴会』などで測れるものではない。

 もちろん個々の技量も、労働条件の安定も大事だが、上に書いたアンサンブル能力(合奏能力)や、個々の団体のサウンドは、もっと大事なものだ。時間と経験をとおして培われるものだ。これは、レベルの違いこそあれ、プロ集団でも学校のクラブ活動でも同じだ。

 たとえば学校バンドでは、個々の技量では劣っているバンドが、個々の技量が上のバンドよりもずっといい演奏をすることもあるし、合奏水準のアップを個々の技量にばかり求めて失敗しているバンドもある。

 まぁなんにしろ、上に立つ人間の耳がそういうことをわかっていなければ、どっちみち話にならない。