2009/04/27(月) 希望の国のエクソダス
 今年の2月23日の日記で、ベネズエラの音楽教育システム『エル・システマ』のことを書いて、『ベネズエラは貧困の国だけれども、このシステムは子どもたちに希望をもたらした。日本にも吹奏楽があるけれど、こちらははたしてどうなんだろう。この国の人たちに足りないのは、あかるい未来への想像力なのかもしれない…』と書いた。そしたら、ある人が、「これを読んでみて!」と、タイトルにある村上龍の長編小説を薦めてくれた。やっと読み終えた。ほんとにおもしろかった。

 物語は、ある事件に触発された日本中の中学生たちが、集団で不登校をするところから始まる。それからその日本中の中学生たちが、いろいろなことをして世の中を動かしていくわけだけれども、中学生たちがこの国の何に反抗し、なぜ自立しようとしているのかを描いていく中で、実際にこの国の社会構造が持っている問題や、閉塞感や、ある意味での絶望や、そんなものも描き出されていく。

 主人公?の中学生『ポンちゃん』は、「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない。」と言う。ほんとうに、ある意味今の日本にも言えることなんじゃないのか、と思った。ちなみに『エクソダス(Exodus)』っていうのは『脱出』っていう意味で、『栄光への脱出』(映画にもなったレオン・ユリスの小説)の原題でもある。

 400ページ以上ある長い小説だけれど、引き込まれてどんどん読んだ。考えさせられた。これとおんなじことが、いつか起こるかもしれないし、起こればおもしろいと思った。。

 ぜひ読んでみてください。