2008/03/05(水) 歯の話(4)
時は流れて大学を卒業してすぐのこと。ぼくはトロンボーン背負ってバイクに乗り、リハーサルに向かっていた。交差点、クルマと出合いがしらの衝突。気を失い、救急車の中で気がついた。一時記憶もなかった。打撲と、下くちびるが切れて貫通、顎骨3箇所骨折、歯が5本折れた。顎固定で1ヶ月半入院。大学を出たばかりの4月8日のことだった。
お見舞いに来てくれた仲間に復帰はいつになるか訊かれ、「7月1日付で復帰します!!」と宣言した。とは言ったものの、そんなことができる確証はもちろんなかった。やるしかない。でも、もう2度と、吹けるようにはならないかもしれない…。なんでオレがこんな目に遭うんだ…。病院の屋上で毎日泣いた。
退院後も口腔外科通いが続いた。歯については、笑っている顔写真を探し出し、「このとおりにしてください。」と言った。でも、ラッキーだった。まず、顎が複雑骨折じゃなかったこと。もし顎が砕けていたら、歯もばらばらになる。それから、下くちびるをあれだけ切ったのに神経を傷つけなかったこと…。
退院して、人のいないところで練習した。『ここが前と違う』などと言われるのは嫌だからね。でも、この時はさほど苦労もせず、結局宣言どおりに復帰した。『1ヶ月半楽器を吹きませんでした』程度のものだった。ラッキーとしか言いようがない。
このときの楽器は、ぼくと一緒に事故ってベルセクションがゆがんでしまった。スライドは奇跡的に無事だった。かわいそうだったので、リペアに持ち込んで直してもらった。「新品の楽器1本組むより難しいよ。」と言われたけれど…。で、直して売ってしまった。
(明日に続く…)