2007/01/09(火) 地図
 (昨日の話の続き)まちがった地図ができる原因はたくさんあるのだろうけれど、きっと「間違った情報」というのもあると思うゾ。たとえば呼吸(これはいちばん難しいジャンルだろう)でいえば、「おなかに息を吸いなさい!」などという教え。これは多くの場合、いや、多分どんな場合でも有害だと思う。
 ぼくも学生の頃には、誰かに言われたのか、それともどこかで読んだのか、その「教え」を守ろうとしていた。ロングトーンなどしているときも、ブレスで、「おなかに息」って…。でも、なんだかそうするとどうしても息が半分くらいしか吸えない。「まだ何かが足りないんだ…」そう思った。けれど、ぼくはそんなに勤勉な学生ではなかったし、曲を吹くときにそんなことは考えていられない。そのうち、「おなかに息」は捨ててしまった。だってそれはとっても不自由だったからね。
 もしぼくがとっても勤勉な学生で、「おなかに息」をマスターしようとそのとき血のにじむような努力を積んでいたら、つぶれて今ごろトロンボーンを吹いていなかったかもしれない。
 似たようなものに、「おなかに力を入れて吹きなさい」というのもある。苦しいだけである。まだまだありそうだけど、どうして昔はこんなおかしな間違ったことが言われていたんだろう…。いや、おかしな教えは今でもある。
 「(長三和音の)第5音は根音より下に来た時はちょっと低めにしなさい」というのを去年聞いたゾ。「はあ!?」と思った。言わなかったけれど、もちろん間違い。もしもなにか違うことを意図して言ったのなら、正しい言い方をしなければならない。それに、和音で音を上げたり下げたりするのは、理屈じゃなくて耳がするのだ。(さらに明日に続く)