2007/08/23(木) 音楽って、なんのためにあるの?(2)
 どんなに一生懸命時間をかけて注意深く練習しても、「ここが遅れる」「ここが転ぶ」「この音が合ってない」「ここのバランスが悪い」…、指摘しようと思ったら、いくらでもできる。きりがない。きりがないんだけれど、そういうところを少しでも良くしていくこともまた、大切なこと。でも、どんなにそれらをつきつめて、完璧(完璧なんてものはないけれど)に近づいても、よく聴くとイミテーションみたいにしか感じられない演奏も、ある。「整った演奏」が、「流れる」「歌っている」「ノリのいい」「心に響く」演奏だとは限らないのです。
 さらに、アレクサンダー・テクニークでも言っているように、ただ「きちんと」としか思わずに奏でたフレーズと、「伝えよう」「届けよう」として奏でたフレーズとでは、全然違ってくる。それは、「整っている」とか、「技術が高い」とかいうこととは、また別のことだ。
 ぼくの演奏仲間で、本番後、「いつもすばらしいですね」って言われるようなやつがいる。「ぜんぜん外さないし…」って。いや、そいつがほんとうにすごいのは、音を外さないことなんかじゃない。ほんとうにすごいのは、(演奏が)つねに前向きで、一つ一つの音、一つ一つのフレーズに全部ちゃんと意思がこもっていること。一緒に吹いているとほんとうに感じる。尊敬します。