2007/07/16(月) 上手側、下手側
 舞台には、「上手(かみて)」「下手(しもて)」という言い方がある。ステージの、客席側から見て右手側が上手(かみて)、左手側が下手(しもて)。オーケストラで通常バイオリンがいる方が下手側、吹奏楽ではだいたいテューバやユーフォがいるのは上手側だ。
 オーケストラ楽器別人間学というのがあるけれど、さらに、下手側気質、上手側気質というのがあるのではないかと、ぼくは思っている。通常オーケストラの下手側人種は、バイオリン、フルート、クラリネット、トランペット、パーカッション、それから指揮者(指揮者はたいてい下手側から登場する)。上手側人種は、ビオラ、チェロ、コントラバス、オーボエ、ファゴット、ホルン、そしてトロンボーン。あればテューバ。本番前のオーケストラは、反響版に囲まれた舞台によって下手袖と上手袖にこんなふうに隔てられて待機しているのだ。
 まあ楽器の性格にもかぶるけれど、下手側人種は、目立ちたがり、華やか、お調子者、リーダー気質…、いわゆる、陽タイプ。それに対して上手側は、縁の下の力持ち、おだやか、ちょっと変わり者、わが道をゆく、かと思うと、家族的だったりムードメーカーだったり…。陰とはいわないけれど、野球でいったらキャッチャータイプか。それに対して下手側はピッチャータイプ? でも、のちに指揮者に転向したり、転向しないまでも棒を振ったりする人間はなぜかむしろ上手側に多いように思う。ビオラ、ファゴット、トロンボーン…、思い当たる人がたくさんいるゾ。
 それにしても、ステージに上がる前の舞台裏、やっぱりなんとなく上手袖のほうが居心地がいいのは、やっぱりトロンボーン気質だから?