2006/05/05(金) 吹奏楽指導って(3)
 “合わせる”の、質の話。たとえば、「高いから下げて!」「低いから上げて!」と言葉で言うのは簡単。でも、“下げて、と言われたから下げました”では、それこそその場限りでおしまい。どうして合わないのか、何が足りないのか、そこを見ないと、それこそただの対症療法だ。楽器任せで吹いて、チューナーで測って合わせて、それでいいのか…。じゃあ、“歌ったら”合うのはなぜなのか…。音の形だって、「もっと長く!」「もっと短く!」などと伝えるのよりも、たとえばまずはその音型を順番にリレーしてみる練習などの方がずっと分かりやすいし、音楽的ではないのか…。“合わせる”にも、いろいろとあるのです。
 さらに、専門家は音を寄せることを心得ているから短時間の合わせで合奏を創れるけれど、子どもたちはやはり、“どれだけ一緒に吹いたか”が効いてくる。それがなければ、いくら音程や目先の音型を合わせたって、やっぱりサウンドしない。
 いままで出会った、すばらしい指導者の方たち…。まず、その人が指揮台に立っただけでバンドを集中させる、ある種の緊張感や威厳。そしてたしかなイメージが自分の中にあり、さらにバンドの音がほんとうによく聞こえている。何が足りなくて、どうすればいいのか、すばやく判断できて、バンドは知らないうちにうまく誘導されている。理屈を説明したりということはほとんどない。だけど、とってもうまく持っていく。“わかる”ことと“できる”ことは違う。“できる”ことが目標。
 などと書くのは簡単だけど、どうすればそんな指導者になれるのだろうか…