2005/10/13(木) 革新(1)
 あるコンサート企画の話し合いがあった。「どこにでもあるようなものではなく、なにか新しいところがないと…」たしかにそうかもしれない。でも、革新的なものというのは、難しい。なぜかというと、ただ“今までにない”とか“めずらしい”というだけでは、世に出す価値がないからだ。
 たとえば和楽器ブームといわれる昨今。でも、『これって、べつに三味線じゃなくてもいいじゃん』というようなものもあるのも事実。新しい世界を拓いた、ほんとうに魅力があるものでなければ、やる意味がない。「ふ〜ん、だからどうしたの?」と言われるのがオチ。なにかを創り出すということは、ほんとうはすごく大変なことなのだ。
 ムソルグスキーが書いたピアノ曲を、ラベルはオーケストラにアレンジした。それは、ただ単に“オーケストラでやってみました”なんていうような程度のものではなく、彼はそれによって新たな世界を創り出し、“展覧会の絵”という名曲が、世に出た。
 ほんとうに新しいものを生み出すというのは、たとえばそういうことなのではないだろうか。