2005/09/07(水) 続,やっぱりナマがいちばん
 音楽の空気や、息づかいや、呼吸… 「テンポは呼吸です」と言った指揮者がいた。その意味の向こうに、たとえばジャズで言う“タイム感”に根っこの部分で通じるものを感じたりした。
 以前、オーケストラの合宿でベートーベンのシンフォニーをやった。休みの楽章を聴いていて、演奏するオケから舞いのぼる空気に純粋に感動した。音楽は呼吸している。その時、そのことを実感した。
 しかしその時の録音を聴いても、その空気、音楽の息づかいまでは伝えてはくれない。録音技術が進歩すれば、どんな音がどんなふうに並んでいるのかは正確に再現することができるだろう。でも、どんなに名演奏の名録音もその空気までは伝えてはくれない。
 CDが氾濫する今、ありとあらゆる音楽を手に入れて聴くことができる。だけどそこにあるのはやっぱり“どんな音がどんなふうに並んでいるのか”だけ。まあ音楽をただそういうものだとしか思わない人にはそれで十分なのであろう。でも、人の心をほんとうに動かす要素は、むしろCDに記録されなかったものの中にこそあるのだと思う。