2004/11/19(金) 文章からつたわるもの
昨日の4連譜にしてもそうだが、楽譜の書き方によって、伝わるニュアンス、奏者に与える印象も変わってくる。それと同じように、文章から伝わるニュアンス、空気というものもある。
たとえば漢字の使い方。『よろしくおねがいします』と『宜しくお願いします』… 後者の方が硬いイメージ。親しい人へメールを打つ時などは、ぼくはひらがなで打つ。正式な文書などでは後者、さらに『宜しくお願い致します』などと打つ。
こういう漢字の選び方、ひらがなの使い方が文体の魅力のひとつになっている作家が、江國香織さんだと思う。どのことばを漢字にするのか、どのことばをひらがなにするのか、とっても注意深く、いや、もしかしたら本能的に(すぐれた作曲家が持っているセンスのように)選ばれていて、それが独特な空気を醸し出していると思う。
ほんとうに日本語というのは、微妙で繊細な表現ができる言語だと思う。が、たとえば『ょろしくぉねがぃぃっっっ』などという使い方は、そのせっかくの言語を破壊することになるような気もするのだが、どうだろうか…。